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石の沼と【コカトリス】①

ミストが言いはなった【コカトリス】とやらは、黄金色の立派な鶏冠を持ち、僕らがダイイチキュウで見た事のある鶏とは比べ物にならないくらいに何倍も大きな体躯をしている。 そして、何よりも目を引くのは【コカトリス】の背中から生え、蛇の鱗がビッシリと全体覆う大きな両翼だ。鶏冠と同じように黄金色をしており、蛇の鱗がついている事を除けば―――ドラゴンの翼に見えなくもない。 いや―――奇怪な姿とも、言えるのはそれだけじゃない。 本来の鶏と決定的に違うのは―――その尾だ。普通ならば存在しない筈の尾っぽに、これまた有り得ない蛇の頭があるのだ。蛇の頭が様子を伺うように此方をジイッと見つめている。 「うわっ………何、あれ―――あの気持ち悪い奴――なんか嘴にくわえてるよ!?あれって……何なの……っ……!?」 「多分、あの嘴にくわえてるのが――卵を生んだ親だよ。コカトリスは―――ジャケイっていう蛇の尻尾を持つ鶏が生んだ卵を――あそこにいるゴルド種の大ガエルが温める事により生まれるんだ。そして、最後には親まで食い殺してしまうんだ」 引田が不快そうに顔を歪めながらミストへと尋ねる。そして、ミストは何とか冷静さを保ちつつ彼の疑問に答えると懐から己の武器である杖を構えた。 ―――ドドドッ――― ――ドドッ―― 【グッ――グッグ―――グェェェェッ~……!!】 大きな鶏冠を持つ頭を左右に揺り動かし、嘴から既に息絶えてグッタリとしたジャケイをペッと沼の水面に容赦なく吐き出した。 そして、沼に向かって大きな息を吐く。 すると―――みるみる内に沼の水面が石化していき、まるで氷が張ったように固くなっていくのだった。

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