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【ハーピーの世界】の異変と【コカトリス】③

【キューイ、キューイ……さあ、ハーピーの仲間達―――その自慢の美しい羽でこの【世界】に嵐をよんでやるのでしゅ――いずれ、この国の新たなる主となる塔の御主人しゃまに祝福を!!邪魔になる奴らは……この国の王子しゃまであろうと、客人であろうと排除するのでしゅ!!】 ――大樹にとまっている色とりどりの鳥達が【ハーピー】の言葉を合図に、一斉に羽を広げ上下に振り上げたり、振り下ろしたりする。 ―――たちまち、まともに立っていられたい程の激しい風雨が僕らに襲いかかる。宝石のように煌めく美しい雨が、まるで霰のように無防備な僕らの顔を襲い、目を瞑らずにはいられない。 まともに開けられない目を無理やり開いた僕はそれでも石像の姿から蘇った【コカトリス】の動向を探るため、半開き状態の目で辺りの様子を伺う。 「……ぐ……っ……!!?」 先程まではとても幻想的だった【満天の星空の世界】は雷の稲妻が光り―――と、宝石のように煌めく星の雨粒と台風のように激しい風が吹き荒れる正に【別世界】となってしまった。 なるべく宝石のように煌めく星の雨粒が顔に当たらないように手で覆いながら防いでいた僕の耳に―――引田の苦しげな悲鳴が聞こえてきた。 慌ててそちらの方向へ目を向けた僕の目に飛び込んできた光景―――。 それは石像から蘇った【コカトリス】の蛇の尾の部分が長く伸び引田の首に巻き付き締め上げている。しかも、それだけではなく―――その自在に伸びた【コカトリスの蛇の顔をした尾】の牙が引田の首にガブリと深く突き刺さっている光景だったのだ。

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