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未だに暗い沼に沈む者①
▽ ▽ ▽ ▽
ザバァ~ッ…………
「あ~……死ぬかと思った……っていうか、何で誰もミスト達の事を助けにきてくれないのさっ!?まったく、ミストは泳げないんだから―――それを知らなかったユウタ達はともかくとしても、サンは助けにきてくれてもよかったのに!!」
自力で以津真天の浮かぶ沼の縁から這い上がってきたミストが、全身ずぶ濡れになりながら―――文句ありげな表情を浮かべつつと僕らを見つめてきた。
「…………底無し沼の如く深さがあるならばいざ知らず、大した深さのない沼から、お前が抜け出せない訳がないだろう。それよりも―――お前、今___《ミスト達を》と言ったな。それはどういう事だ?まさか、お前以外にも未だに沼に沈んでいる者がいるということか?」
ミストの文句ありげな様子を呆れた表情を浮かべながらも、懐から白い布を取り出し、それを彼に向かって放り投げたサンが怪訝そうに尋ねる。
「う~ん―――暗いからハッキリとは言い切れないけど――シリカ様……に見えたよ。少なくともミストの目にはね。流石にミスト一人じゃ彼を引き上げるのは無理だったからそのままにしといたけど―――どうする?」
サンから放り投げられて地面に落ちた白い布を慌てて拾い上げ、ずぶ濡れになってしまった体を拭きながら真面目な顔で僕らへと尋ねてくるミストなのだった。
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