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一行に襲いかかるは――大海蛇②
ふっ――と背後に何かがいる気配を感じた僕はおそるおそる後ろを振り向こうと体を動かす。
それにつられるようにして―――隣にいる誠も背後を振り向こうとした時の事だった。
正確な大きさなど、想像すら出来ないような――ましてや今まで目にした事のない程に全身が長い謎の生物の大きく開かれた口が―――まるで彫刻のような美しい石像と化したシリカをあっという間にくわえ、そのまま何処かへと泳いで去って行くために、その巨体を優雅に翻した。
どうやら―――水中で泳ぐのが随分と得意な生物らしいのが見ているだけで分かる。
「…………っ……!!?」
余りに突然な事で―――呆然としている僕の手をグイッと誠が引っ張ってきた。そして、彼は人指し指でツンツンと上の方を示してくる。
(―――そうか、今の状態だと――呼吸する事すら、ままならない。一定量の空気を確保できるように―――何度か水面から出たり入ったりするのを繰り返さないと―――)
急に現れた謎の巨大生物にシリカを捕らえられ、彼を見捨ててしまうようで何となく心苦しいものの、とりあえず新鮮な空気を確保すべく―――僕と誠は沼の底から地上へと繋がる水面に向かって上へ上へと昇って行くのだった。
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