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大海蛇の最後①
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その時、誠と共に新鮮な空気を取り込むために水上へとあがってきていた優太はミスト達が自由自在にスイスイと沼を泳いでいる巨大な影―――または人々から大海蛇とも呼ばれて恐れられているシーサーペントを退治しようと四苦八苦してい光景を見ていた。
「優太、俺達はあの石像になったシリカとかいう生意気な子供を助ける事だけに集中しよう―――大丈夫、きっとアイツラがあの巨大な蛇を何とかしてくれる筈だ。頭がきれる引田に―――任せよう」
「ま、誠…………引田の事をやっと受け入れてくれたんだね。僕らの仲間だって……認めてくれたんだね。僕、とっても嬉しいよ……シーサーペントを倒せたら引田の事を……誉めてあげて……っ…………」
「―――それは、嫌だ……でも、アイツは……悪いやつじゃない。多少、性格がひねくれているけどな……それに変態なのは確かだ。だけど―――大切な――な、仲間だ……っ……」
少し顔を赤くしながらぶっきらぼうに話す誠の言葉を聞いて、思わず優太は面食らってしまった。何故なら、誠はダイイチキュウにいた時からずっと引田を受け入れるような―――認めるような言葉を口にしなかったからだ。
優太はとても嬉しくなり―――こくり、と頷くと再び誠と共に石像となったシリカの行方を探すべく沼の中へと潜るのだった。
ピョン、ピョンと一目散にミスト達がいる方へと向かい、明らかに興奮状態の大ガエルに向かって何かを放り投げようとする―――引田の姿を目にしながら…………。
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