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大海蛇の最後②

優太と誠が空気を吸う為に水上へあがり、そんなやり取りをしていたという事など知る由もない引田は、ただ思考を巡らせていた。 まるで、沼の中が新たな棲み家だと言わんばかりに自由自在に泳ぎ回っている大海蛇を倒す方法だけを考えていた。 そして、そんな引田にひとつの閃きが舞い降りてきた。 だからこそ、引田は己が持っているキィーナ虫の幼虫を振り上げる事を止めて――一心不乱に此方へと向かってくる大ガエル目掛けて思いきり投げたのだ。 (よし――緑色の粘液があるからうまく離れてくれるか心配だったけど…………大丈夫だった……あとはキィーナ虫の幼虫が大ガエルにくっつけば……っ……) 引田の新たな作戦は、チャーム魔法がかかっている大ガエルと体にくっついたキィーナ虫の幼虫を囮にして、大海蛇が水中から飛び出してくるのを待ってから、ミストの氷魔法で大ガエルと共に大海蛇を凍らせ―――そして、最後の最後に爆発魔法で彼らを破壊させてしまうというものだ。 大ガエルとキィーナ虫の幼虫も大海蛇もろとも犠牲になってしまうのが、この作戦の欠点ともいえるのだが―――もはや、そんな甘い事は言っていられない。 【誰かを救うには―――犠牲が必要なんだよ……優太くん……っ……】 ふと、以前に聞いた事があるような言葉が引田の頭をよぎったが―――結果的に引田を含める彼ら一行は上記の作戦で大海蛇を退治したのだ。 そして、大海蛇を退治した後―――引田達は仲間達を救うためとはいえ犠牲にさせてしまった哀れな大ガエルとキィーナ虫の幼虫に心の中で深く感謝しつつ、粉々となり沼に沈んでしまった彼らに対して手をあわせるのだった。

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