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白黒テレビに閉じ込められたミストは何を思う――②
【トウキョウΧΧΧΧ】と何度も繰り返しながら―――若い男の人は白黒テレビ内部で淡々と、しかしどことなく―――ミストの姿が消えてしまい唖然とする僕らを追い詰めているかのように形容しがたい不気味な笑みを浮かべつつジッと見つめてくる。
画面にはノイズが走り、上下に激しくブレてしまっている。
その白黒テレビのブレが気味悪くて、僕は慌てて画面から目線を横にずらした。すると、画面の右横に0~12まで目盛りがついている回転式のダイヤルがある事に気付いた。
「ん…………これ、なんだろう?この数字が書いてあるダイヤル!?」
「…………っ……数字のダイヤル……そうか、もしかしたら……この狂った番組を変えればいいのかもしれない……昔は……ダイヤルでテレビのチャンネルを変えていたと……ダイイチキュウにいた時の歴史の教師が言っていたじゃないか」
―――意外だった。
ダイイチキュウにいた頃、いつも授業なんて真面目に受けている素振りすら見せなかった誠が―――まさか、そんな事を言うなんて。
「で、でも……これでチャンネルを変えるにしても……何の数字に合わせればいいのか……分かんないよ……っ…………」
「…………意外だな、優太……お前の方が歴史の授業を真面目に聞いていると思ったんだが……トウキョウΧΧΧΧ……頭に東京という言葉がつく昔に起きた大事件なんて……俺にはこれしか思いつかない」
「えっ………っ……!?」
「3、1、0………この順のままでダイヤルを回してみろ。後で、何が起きたか教えてやるから…………」
怪訝そうな表情を浮かべつつも、他に思い浮かぶ数字がなかった僕は誠に言われた通りに、ゆっくりとだがダイヤルを回すのだった。
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