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白黒テレビに閉じ込められたミストは何を思う――③

「万歳、万歳……トウキョウΧΧΧΧの脅威は過ぎさった……万歳!!」 「ばんざーい、ばんざーい……っ……!!」 「ヨソモノの知恵よ、ばんざーい、ばんざーい、万歳!!」 ―――3、1、0とダイヤルを回してチャンネルを変えると一瞬だけ画面が真っ白になり、一人の女の子が楽しげに微笑んでいる画像が映る。少ししか見えなかったけれど、髪の毛は黒いオカッパで丸襟の白いシャツを着ているように僕には見えた。 ―――かと思えば、すぐに画面が変わり《トウキョウΧΧΧΧ》と単調に繰り返していた不気味な男の人が困惑しているかのような表情を浮かべつつも、相変わらず淡々と白黒テレビの中でニュースを読み上げている場面が映るのだ。ニュースを読み上げている若い男の人の後ろで白地に中央に黒丸が描かれた旗をばさばさと大袈裟に振るいながら―――たくさんの大人や子供が万歳をしている。 ―――その光景が、僕にはとても異様に思えた。 【え~……トウキョウΧΧΧΧは見事に……トウキョウΧΧΧΧの脅威は……画面外にいるヨソモノの知恵によって……過ぎ去りました………万歳!!】 ―――ドォォォォンッ___ザ……ザザ―ッ…… 男の人がその言葉を伝えた途端、何かが爆発するような音がしてきたと同時に、ブツンッと映像が途切れて―――再び、白黒テレビの画面が砂嵐状態になってしまうのだった。

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