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部屋の中に散らばるは――色褪せつつある玩具たち②
―――ブツンッ
と、そこでまたしても白黒テレビの電源が勝手に入る。僕ら以外には、誰もいないはずなのに―――まるで見えない何かが示し合わせているかのようなタイミングで白黒テレビの画面が再び映るのだ。
引田が閉じ込められてしまっている《ハナイチモンメの塗り絵》をとりつかれたように見入っている僕らは動揺しきって各々目を丸くしながらも――急いで、そちらへと目を向ける。
ザ…………ザザー……ザザザー……
先程と同じように画面が乱れ、白黒の砂嵐状態となり、目がチカチカしてしまうが、真っ白な背景の中央に映る《黒いオカッパ頭で白丸襟のブラウスを着てる女の子》に対して僕もミストも―――そして誠ですら穴があいてしまう程に目が離せずにいた。
【みて みて みて よそもの の おにいさんたち 】
ふいに、白黒テレビの画面の背景として黒い文字のテロップが踊るように流れると共に、オカッパ頭の女の子がなにかを持っている事に僕もミストも誠も―――ほぼ同時に気付いて、お互い驚いたかのように顔を合わせるのだった。
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