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部屋の中に散らばるは――色褪せつつある玩具たち⑤

半開きになった押し入れの中は薄暗く、パッと見だけでは中がどんな様子なのかさえ分からない。押し入れの扉に手をかけて、中の様子をじっくりと確認してみようとした時の事だった。 「ユ、ユウタ……コイツら、急に現れたよ!?ミストには、よくわかんないけど、シロクロテレビとかいうやつの中から…………っ……」 「えっ…………!?」 どことなく慌てたようなミストの声を聞いた僕は思わず―――振り向いてしまった。 そこには、紙に鉛筆で描かれたような絵が―――そのままそっくり切り抜かれて紙の中から出てきたような――不気味としかいいようのないモノが微笑みながら僕の顔をジッと見つめて立っていた。姿形はミストにそっくりだが、 僕にはすぐにソレがミストじゃないと分かった。 ソレには顔というものが―――存在していないのだ。 本来なら顔があるべき場所は、鉛筆でぐちゃぐちゃに書きなぐったかのような状態になっていてソレが―――ダイイチキュウにとっても、ミラージュにとっても異質なモノであると僕はなんとなくだが感じた。 「マネマネさん が こーろんだ 」 自分の意思じゃなく、半ば強制的に僕は口を開いて小声でそう呟いた。そんなことは呟きたくはなかったのだが、まるで操り人形のように半ば強引に呟かざるをえなかったのだ。 【つかまえた ヨソモノ つかまえた 】 ふと、顔がないソレが―――僕の肩にタッチする。 すると、そのまま優太は――本来の人間の姿からかけ離れた《折り紙で作られた可愛いおにんぎょう》の姿へと変化してしまうのだ。 ―――パタンッ……… あまり大きな音をたてずに押し入れの扉が閉まったと察知した《折り紙のおにんぎょうとなった優太》は、その中で同じようにサンやライムス、挙げ句の果てには王子であるシリカまでもが《折り紙のおにんぎょう》にされてしまっている事に―――ようやく気付き、とてつもなく後悔するのだった。

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