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ミストと誠とマネマネさん①

▽ ▽ ▽ ▽ 「あ…………あれっ……ユウタ――ユウタ……ッ……!?」 ミストは驚きのあまりーーー目を丸くしながら部屋の中を見渡すことしか出きなかった。 ミストは確かにーーー優太が半開きの押し入れに向かっていくのを、この目で見たのだ。 しかし、ミストがすぐ近くにいる誠から話しかけられーーほんの一瞬、目線をソチラへとずらし、再び振り向いた時には押し入れの方へと向かっていた優太の姿は忽然と消えていたのだ。 (そんな……そんなことって……っ……森に迷い込んだニンゲンを言葉巧みに引き込んで拐うタチの悪いピクシーの悪戯じゃあるまいし、さっきまで確かにいた筈のユウタがどこかに消えるなんて………とにかくマコトに知らせいないとっ……) 何かを真剣に考え込んでいる誠の方へと目を向けたミスト。その誠の様子から察するにーーー優太が一瞬でいなくなってしまった事に気付いてすらいないと考えたミストは急いで彼の方へと歩ンで行こうとする。 コツンッ………… すると、ミストの爪先に何かが当たり―――怪訝そうな表情を浮かべつつもソレを拾いあげる。 ソレは―――甘い香りがするお菓子を模した消ゴムだった。

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