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ミストと誠とマネマネさん③

(だいじょうぶ……だいじょうぶだよ……きっと……ユウタの事が大好きなマコトなら……ずっとユウタの事を追いかけてたマコトなら……コイツがニセモノだって……分かってくれる…………) そんな願いをミストが抱いたのを、まるで分かりきっていたかのように、ゆっくりと背後から近付いてきた誠が行動に移す。 ―――ガッ!! 誠は―――畳の上に散乱している空のような色のビー玉を素早く拾うと、そのまま優太の姿をした得たいのしれない存在へと容赦なく投げ付けたのだ。 「そ、そんな……っ……そんな誠、どうして……どうして……仲間の僕にこんな酷いことするの!?」 優太の姿にそっくりな謎の存在は―――みるみる内に、涙で潤んで子犬のように可愛らしい瞳を容赦なくビー玉で攻撃してきた誠へと向けた。 思わず、背後にいる誠と優太にそっくりな謎の存在の方へと振り向いてしまったミストだったが、唐突なビー玉の襲撃のせいで気をとられたからか、異変は何も起こらず普通に振り向く事が出来たミストはホッと安堵した。 しかし、だからといって―――謎の存在の方へと振り向いてしまって《おりがみ人形》へと姿を変えられて押し入れに閉じ込められてしまった仲間達が救われ、元に戻った訳ではない。 (本物の優太達を救うには―――やっぱりコレをどうにかするしかないんだ……で、でも―――どうやって……コレの正体が分からない以上、ミストの魔法も使いようがないし……っ……) その時、ちらりと誠がミストの顔を一瞥した。そして、ミストが右手に持っている甘い香りがする《消ゴム》とやらに目線を向けると、ビー玉を投げ付けられた箇所を擦って泣いている優太そっくりな謎の存在に気付かれないように、向かい合う状態になっているミストに分かるように己の片手をクイクイと上へと動かす。 「……っ…………!?」 ミストは最初は、なぜ誠がそのような行動をするのか分からなかったが―――少し時間が立ってから、やっと理解する。 誠は甘い香りがする《消ゴム》を自分に寄越せ、とそう言っているのだ。しかし、優太そっくりの謎の存在がすぐ側にいる以上、言葉でそれを指示する訳にはいかないため、そのような行動をとったのだ。 誠が何を考えているのか、ミストにはハッキリとは分からないが―――とにかく、試してみる価値はあると判断した彼は《消ゴム》とやらを、ソッと慎重に誠へと手渡すのだった。

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