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さあ、答え合わせの時間だ――①
「くちさけおんな あらくね―――か。確かに、あの喧しくて気性の荒そうな蜘蛛女のイメージにピッタリだな………と、それよりも……これからの問題は――どうやって塗り絵の中に閉じ込められた引田と、折り紙で作られた優太達を救うかだけど………」
「う、うん……インプを倒したからって、ミストの杖が元に戻る訳でも……優太達が元に戻る訳でもないってことは……やっぱり、あのリッくんとかいう男は一筋縄じゃいかないんだね。それにしても、ミストの魔法が使えないんじゃ……どうしようもないよ―――」
ミストは未だに鉛筆のような姿に変化してしまった杖に目線を落とすと切なそうにポツリと呟いた。意識しているのかいないのか――それと同時に、長い耳が僅かに下へと向いたのが誠の目に移る。おそらく、ミストたちエルフは哀しんだりするとその独特な長耳がペタリと下に向いてしまうのだろうと誠は何となく思った。
ミストが仲間を救えずにいる不安と焦りから泣き出しそうになるのを、マジマジと見てしまうのは流石に気まずいと感じた誠は―――ふっと目線を下へと落とす。
すると、彼の目に―――ある物が写った。
「ミスト……さっき………あのインプは何と言っていた!?」
「え、えーっと………あのインプが色々言い過ぎてたせいで余り覚えてないけど……この世界では魔法なんてものは……そもそも存在しない、とか――美しいお方に申し訳ないとか……ごちゃごちゃ言っていた……気がするけど……っ……」
―――あの時、白黒テレビが一瞬だけカラフルになった意味。
―――インプが負け惜しみのように言い放った《この世界には魔法なんてそもそも存在しない》という言葉の意味。
―――《消ゴム》《クレヨン》が床に散乱している意味。
―――《ミストの杖が鉛筆の姿へと変化した》理由。
誠の頭の中で、まるでパズルピースがピタリと嵌まったかのように唐突な閃きが浮かんできた。
そして、その唐突に浮かんできた時こそが――誠の頭の中で《いくつかの謎》の《答え》を生み出す瞬間なのだった。
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