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【インプの三人娘】の逆襲①

「み、見てっ……マコトーーヌリエの中に閉じ込められてたヒキタの顔が……段々ーー笑顔になっていくよっ……!!」 「ああ……白黒世界に閉じ込められた引田は――色を与えた事によって……進化したんだ。俺の前の世界でいう所の白黒テレビからーーカラーテレビへと変化していったように……っ……」 と、最後の仕上げだと言わんばかりに――ヌリエの中に閉じ込められてた引田そっくりの少年の全身を素早く塗りつつミストへと言うと――誠は己にやれる事はやりきったと言いたげに満足そうで――どことなく照れくさそうな笑みを浮かべてからチラッ……と横目で先程までミストが閉じ込められていた白黒テレビを一瞥する。 「この……大馬鹿娘の魔物たちめ……よくも――ぼくをこんな味気ない世界に――閉じ込めてくれたよね……ねえ、許されると思ってる?思ってないよね……ってことで、三人まとめて――おしおきしてあげるから覚悟しなよ……っ……!?」 【あーん あーん ごめんなさい ごめんなさい よそものとみみながのおにいちゃんたち ごめんなさい もう もう こんなこと しないから ゆるして ゆるして ぱぱ ぱぱ ごめんなさい 】 誠が一瞬だけカラーとなりヒントを与えてくれたおかっぱ頭の少女が中にいる白黒テレビに目線を移してから少しした後、いつの間にか【ヌリエの世界】から戻ってきた引田が忌々しそうな表情を浮かべながらも頭部に人間の少女が好みそうな髪飾りやリボンを付けている【ヌリエの中に同化していたインプの少女たち】を捕らえて文句を言っている光景が広がっていた。 「ヒキタ……ヒキタ……ッ……良かった……良かったよ……無事でっ……もう、ミストの事――こんなに心配させて……ヒキタこそ、ミストにこれからお仕置きされるんだから……っ……」 「……っ……ミスト…………ごめんなさい――遅くなって……でも、お仕置きは……勘弁……して……っ……」 「これでも……っ……?」 と、ミストが引田の唇に口付けする様子を横目でチラ見しつつ――先程から誠は何か心の中にモヤモヤした感情を抱いている事に気付いて部屋の中を一瞥してみた。 ―――ちゃぶ台。 ―――黒電話。 ―――音楽を聞くためのレトロな蓄音機。 ―――今はもう反応しない白黒テレビ。 ―――何体も床に置かれているくりくりした目が特徴の文化人形。 ―――何体も床に置かれているピンクや青や黄色が特徴的な女の子を模した起き上がりこぼし。 そういう物が置かれているだけで―――特に異変はないかのように誠の目には移った。しかし、やはり何かが気になる――という漠然とした不安を抱いていた誠が再び【ヌリエの中に同化していたインプの娘たち】に目線をやった時―――、 「し、しまった……ミスト――引田……そいつらから今すぐに離れろっ……!!」 「えっ…………!?」 【ぎゃはは きゃはは いまさら きづいても もう おそい おそい おろかな おろかな みみなが と よそもの の にんげんめ 】 プツッ………… 【おもちゃ の ちゃ ちゃ ちゃ おもちゃ の ちゃ ちゃ ちゃ ちゃ ちゃ ちゃ おもちゃ の ちゃ ちゃ ちゃ 】 急に今まで動かなかった蓄音機が自動的に動き出し、誠にとっては何度もダイイチキュウで聞いた事のある懐かしい童謡が部屋中がびりびりと揺れてしまうくらいの大音量で響き渡り――無防備だった誠や引田――そして彼らよりも音に敏感な種族であるミストの耳中をダイレクトに攻撃してくるのだった。

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