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【インプの三人娘】の逆襲②
その不快で甲高い大音量が部屋中に鳴り響き、誠達の鼓膜をダイレクトに攻撃してきた途端―――激しい頭痛に襲われ三人は一斉に頭から耳にかけて両腕で必死に抑えながら、その場に蹲ってしまう。
蓄音機から流れ続けて同じフレーズを繰り返して自分達の耳を攻撃し続けてくる【おもちゃのマーチ】の音の攻撃だけじゃなく、開けっ放しになっている窓から差し込む太陽の光でさえ――誠達の目にはチカ、チカと眩しく飛び込んできて攻撃してくるため目を瞑らずにはいられない。
それは、誠だけではなくミストや引田も同じらしく――かろうじて薄目を開く事が出来た誠は咄嗟に今の状況を確認しようとゆっくりと辺りを見渡してみようとした。
「なっ……何だ…………これは……っ……!?」
思わず―――そう呟かずにはいられないほどに、なんとか薄目を開けて今の部屋の状況を確認しようと一通り見渡した誠は驚愕してしまう。
―――隣で蹲って頭を抑えつつ呻き声をあげながら苦しんでいるミストや引田の大きさが何倍も大きくなり巨人の如くなっている。
いや、それだけではない―――。
―――周りに置かれている家具や少女が好みそうな何体もの人形たち__というよりも部屋全体がぐにゃり、ぐにゃりと歪み悪夢の中にいるかのような感覚に陥ってしまっているのだ。
(こ、これは……っ……まるで__自分が小人にでもなってしまったかのようだ……っ……しかも……あの忌々しいインプの三人娘は……どこに行ったんだ……っ……)
周りが全て巨大化し、まるで幼い頃に見た悪夢の中に放り込まれたかのように錯覚してしまう誠は珍しく動揺しきりつつも__姿を消してしまった【インプの三人娘】を探すために悪夢の中へと誘い出されてしまうのだった。
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