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悪夢から醒めなさい――と仲間は言う①

強烈な頭痛と眠気に襲われていて目を瞑りかけてしまいそうな誠の体を目掛け、なおも何処からか色とりどりのビー玉達が飛んでくる。 (な、なんなんだ……っ……急に……っ……もしかして……これも――敵からの攻撃なのか……敵……敵――とは誰だ……っ……そうだ……俺は__インプの娘らを探して……これも……奴らの攻撃なのかっ……) その時―――、 誠の脳裏に―――ある映像がフッ……と浮かんできた。 ―――どこか部屋の中にいる幼い頃の自分。 ―――向かい合うようにして座っている同じ年頃で玩具を持つ男の子。その玩具を持つ男の子の傍らにもう一人――その子と顔が瓜二つな男の子がニコニコと微笑んでいる。 ―――玩具を持っている男の子が幼い頃の誠へとふざけながら軽く投げつけると、もう一人の男の子が『もう、やめなよ……ユウタ……』驚きながらも笑顔でその子を諭す。 その映像が――フッ……と頭の中に浮かんできた途端に心の中が《苦痛》ではなく《幸福》で満たされていくのが分かった。 誠の体に何個ものビー玉が当たり体の外側から痛みを与えられた事によって明確には何故だかは分からないけれども、あれ程苦しめられていた強烈な頭痛と眠気が嘘のように消え去っていく。 『ちょっと……ちょっと―――木下誠……いつまで悪夢の中に――いるつもり?お前には……まだやる事が何個もあるでしょう……お前が大好きで大好きで堪らないあの子が――押し入れの中で待ち続けてるよ……っ……』 ふっ…………と誠の頭の中に今度は仲間である筈の引田の自分を叱るように言い放ってくる言葉が聞こえてくるのだった。

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