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ようこそ、【空中都・青春区・空海】へ④
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ふわり、ふわりと―――透明なガラス越しに僕が真っ青な海の中を無気力状態で為すがままに漂っている。
そして、外側からもう一人の僕が目を丸くしながら眺めている。
「んん……それが気になったのかいな……かまわんよ……触ってみても。だがな、おぬしが触れた途端に体中をビリビリとキーデンラクーゲの電流が流れるがのう。まあ、そしたら――わいがおぬしの体を治してやるけ……安心するがいいぞ」
「で、ですが…………ええっと……ドクターCさんでしたっけ?どうして―――少し前まで海を漂っていた筈の僕が……こんな風に……まるで動物園や水族館みあいに飾られてるんですか……って―――」
僕は思わず口を閉じかけてしまった―――。
「わいには気を使わなくていいし楽にしてもかまわんと―――さっきも言ったろうに……わいだって、おぬしと同じく元々はダイイチキュウにいたんじゃからのう……しかし―――無限の海におぬしが漂ってて驚いたわい……なぜに夢遊病患者の如く――あのような無限地獄の海に漂っておったんかいな?」
―――かくかくしかじか、と僕はスーツ姿の男によって【無限地獄の海】とやらに強制的に飛ばされてしまったと説明した。
そもそも、僕は【無限地獄の海】とやらから命からがらドクターCという目の前にいる男に救われたとはいえ―――今いるこの水族館のような場所の事もキーデンラクーゲという生物(おそらく)の事と全くといっていい程に知らないのだ。
まず、この場所がどんな所なのか知る必要があると思い、僕を訝しげに―――いや、興味深く見つめてくるドクターCを真っ直ぐに見据えるのだった。
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