457 / 713

ようこそ、【空中都・青春区・空海】へ⑨

※※※ 場面は変わり___、 「た、大変デス……大変デス……ユータさんとニンゲンのメスが何処にもいないんデス!!」 ニンゲンのメスとは___美々の事だ。 ふいに姿を消した美々を追いかけてた優太の姿も見えなくなったという事に気付いた誠達はライムスの慌てた様子を見て、何を今更―――といわんばかりに盛大なため息をついた。サンに至っては、眉間に皺を寄せつつ呆れたような視線をライムスへと向ける。 「そんなの分かってるよ―――あの美々とかいう女生徒も優太くんも忽然と姿を消したっきり手掛かりさえないから、こうして途方に暮れてるんだろ……ミスト、キミの魔法でどうにかならないかな?」 「う~ん……実はね、ミストもヒキタの言うとおりにユータ達の気配を探ろうと探索魔法をかけてみたんだけど、一方的に途切れちゃったんだよ。なんか、こう……魔法をかけた途端に……こんな――そう、こんな感じでグニャグニャになって最終的に彼らの気配を何者かから消されちゃったんだよ」 引田と話してたミストが、とんちんかんな言動をするライムスに対し呆れ顔を浮かべ眉間に皺を寄せているサンとは違い、心底困惑して真剣に悩んでいるといわんばかりに眉間に皺を寄せつつレンガで出来てる壁の隙間からチョロ、チョロと音を立てて漏れでてくる湧き水が溜まった簡易な【給水泉】をひょいっと何気なく覗き込む。 「ミン魚よ、ミン魚よ___ミン魚さん……ミスト達が探す二人のニンゲンの行方に心辺りはありますせんか?」 「ミン魚___だと、ミスト……そこにはミン魚がいるのか?そうだとしたら、まずいぞ……ミン魚はその美しい姿を利用して他の種族の奴らを深い眠りに誘う……魔法生物に詳しいお前ならばそれくらいは知っていて当然の筈だろう……自ら危険に飛び込むとは、まさにトンデヒニイルナツノムシではないか」 「え~……サンってばミストの事心配してくれてるんだ?そうなの、そうなんでしょ?でも、このミン魚は___何となく大丈夫な気がするよ。普通ならミン魚は群れをなして行動するけどこのこは一匹みたいだし……それに、このミン魚___ミスト達に何か話があるみた……い……っ……!!?」 ビシッ…………!! ふいに、サンとミストがやり取りしてた会話で出てきたミン魚という存在が__清らかで棲みきっている給水泉の水の中から勢いよく飛び跳ね、サンと会話していたせいで少し油断してしまっていたミストの顔面にモロに当たってしまう。 『われ、ミン魚ではないないです!!ちがう、ちがう……ミン魚ではあるあるですが単なるミン魚ではないないですよ!!われ、ドクターCなるニンゲンのメイドなのであるあるです!!《マ・ア》という名前だってドクターCなるニンゲンから与えられたであるあるですよ!!』 ミストの顔面に当たり、床に落ちた後__ぴち、ぴちと勢いよく跳ねながらそのミン魚___もとい、《マ・ア》なる奇怪な存在は早口でまくし立てるのだった。 白と黒の鱗___。 灰色の濁りきった瞳の真上(ニンゲンでいうところのオデコ部分)には猫耳のように尖った角が生えており毛は生えていないもののミストと引田が好奇心を隠そうともせず触ってみると__まるでダイイチキュウに存在していた鰻のようにヌメヌメしていたため慌てて二人は手を引っ込め何とも言えない少し嫌そうな表情を浮かべる。 しかし、誠だけは___そんな仲間達を尻目に何も言うことなく神妙な面持ちで《マ・ア》というミン魚を拾い上げ己の大事な優太の居場所を尋ねるのだった。

ともだちにシェアしよう!