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ようこそ、【空中都・青春区・空海】へ⑩

「おい、ミン魚かなにか知らなないけどこのニンゲンに見覚えはないか!?」 よほど、誠は興奮しているらしい――と他の仲間達全員がほぼ同時に思ったのは彼がミン魚《マ・ア》に勢いよく詰め寄り、ずいっと顔を突き出しながら優太の写真を見せつけながら必死で聞いている様を見届けているせいだ。 『ああ、ああ~……そ、そんなにカッコいいニンゲンのオスから見つめられると……変身魔法が解けてしまうのであるあるですよ……抑えられないないのです~!!』 誠に詰め寄られ行方不明の優太の居場所を問われたミン魚《マ・ア》は明らかに照れくさそうな様子で、じり、じりと後退り___いや、正確にはぴち、ぴちと飛び跳ねながら後退する。 そして、その直後___ミン魚《マ・ア》は白い煙に包まれて本来の姿を露にするのだ。おかっぱの黒髪に、鰻のようにヌメヌメした黒角が生えている。パッと見は猫耳娘のように見えなくもないけれども、その肌は銀色の鱗にびっしりと覆われており、両耳はダイイチキュウに存在していた魚のヒレに似た形となっている。ちなみに、色は硝子のように透明て光が差す度にキラ、キラと光り輝いているのでとても綺麗だと誠達は思った。 洋服はダイイチキュウに暮らしていたいた頃の女の子が好むような丸襟の白いシャツに、フリルがふんだんに使われている黒いジャンパースカートを身に付けているのだが、背中には黒いランドセルを背負っており___背丈的にはダイイチキュウにいた時には男子高校生だった誠や優太に比べて明らかに小さい。 おそらく、《マ・ア》は誠達と同様にミラージュに来る前まではダイイチキュウにいて女子小学生ではなかったのだろうか――と何となく思った誠は先程のように無闇やたらに《マ・ア》に詰め寄り尋問するのんは止めようと考え、憔悴している気分を落ち着かせるために何度か深呼吸をした。 『えっと、えっと……ああ~、このニンゲンのオスならドクターCのお部屋にいるのであるある!!ドクターCから手渡されたマ・アの魔夢リストにも載ってるのであるあるですよ!!』 そう言うなり、ミン魚《マ・ア》は黒いランドセルを背中から下ろしてゴソ、ゴソと中身(何かは知らない)を漁り続ける。しばらく、その行為を彼女が続けているせいで段々焦りと不安が募ってきた誠が、同じくイライラを募らせ初めたサンとほぼ同時に此方へ背を向けている彼女の元へ歩み寄ろうとした途端___、 バシャァァァ~…………ッ…… 誠達一行は、ミン魚《マ・ア》の背負っていたランドセルの中から轟音と共に溢れ出てくる大量の水に訳も分からないまま為す術なく、そして満足に息をする間もなく、ひたすらに飲み込まれていってしまうのだった。

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