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人魚姫の側近との戦い④
「誠……っ……他の仲間達__ミストやサン、それに引田とライムスは何処にいるの!?」
「それが……お前達を救うために一緒に来た筈なんだ。だけど……見当たらない。もしかしたら、このふざけた奴らに意図的にどこかに隠されているのかもしれない……」
辺りをキョロキョロと見渡してみても__本物のミスト、サン__それに引田やライムスといった仲間達の姿は僕の目で確認できない。そして、それは僕を固く抱き止めて敵の攻撃から必死で守ってくれようとしてくれてる本物の誠も同じようで僅かに動揺しつつ、この濁りきった【海の水】や【車の排気ガス】が蔓延していて《ダイイチキュウに存在する無機物たち》や《鮮やかな色を失い尚且つ化石みたいな珊瑚や魚たち》が漂っている【夢現の世界】を見渡している。
僕を守ってくれる誠はもちろんのこと___ミスト、サン、引田、ライムス(もちろんホワリンも)__それに【知花】や【金野 力】に囚われの身となってる想太やナギの存在そのものもが僕の心に光を灯す希望となるのに__。
(皆が揃ってくれれば__僕は二度と心を惑わす事なく――願いを諦める事はない……っ……早くミスト達を探さなきゃ……)
仲間達を探そうとするあまり、そちらにばかり気が焦っていた僕は誠に守ってもらっているという安堵感も相まって油断していた。
「優太___危ない……っ……下だっ……」
「えっ……」
誠の慌てふためく声が聞こえたが__遅かった。
いつの間にか、真下への移動していた偽物の【引田】が油断してしまっていた僕の足を掴み、誠から強引に引き離すと、そのまま辺りを漂い続けてる建物の固い壁へと僕の体を勢いよく押し付けたのだ。
それだけじゃない___。
【あはは……今度は肉食獣に狙われる獲物みたいに真っ青な顔になったねえ……優太くん。あのまま誠の言うとおり血婚の申し出を受け入れてボクらと共に人魚姫に取り込まれて玩具になれば良かったものの__余計な事をするからこういう目にあうんだよ!!悪い子の優太くんには__お仕置きしなくちゃね……誠、今がチャンスだよ】
ザシュ……ッ……!!
「……っ……う、ううっ……!!?」
壁に押し付けられた僕の手足目掛けて、偽物の【誠】が構えているダツに化けた【サン】の鋭い牙の矢が素早く飛んできた。本物のサンの能力をコピーしている偽物の【サン】が放った矢による攻撃は容赦なく手首と足首をダイレクトに攻撃し、尚且つ壁に深く深く突き刺さった。そのせいで、僕はかつて呪われた城で好き勝手な事をし支配しようとしていた引田と同じように磔状態にされてしまうのだった。
僕の喉元を目掛けて偽物の【誠】が放ったダツの牙の矢が___放物線を描くように勢いよく迫ってくる。
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