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反撃①

◆◆◆ 「ミスト、お前はなるべくアイツらに攻撃するな。その代わり、俺とサンに防御魔法をかけ続けてくれ……お前の攻撃魔法の威力は強大だから無駄に使うよりも__いざという時の為に取っておきたい。それと、サン……今から俺が言うタイミングで___あれを攻撃してくれないか?」 「あれ___?あれとはいったい何の事だ……?」 《電柱の騎士》の大群にダメージを与えようにも弾かれるだけでなく、追尾攻撃されて此方に跳ね返ってきてしまうせいで攻撃も碌に出来ず、敵の攻撃を避け続ける事しか出来ないせいで手も足も出せない状況だっだか___ふと、ある作戦を思い付いた誠が四苦八苦しながら防御魔法でなるべく攻撃が当たらないようにしているミストと、余裕綽々な様子で不敵に笑みを浮かべている偽物の【ミスト】と【引田】へと向けて弓矢を放ちつつ攻撃していたサンに耳打ちする。 ベタの姿をした偽物の【ミスト】はサンの弓矢が当たりそうになる度にドレスのように美しいヒレをひら、ひらと翻しつつ__攻撃を避けてしまうし、本物そっくりの姿を模倣している偽物の【引田】はサンの弓矢が当たりそうになる直前に、そんな攻撃なんて当たらないよといわんばかりにニヤリと頬笑んでから水泡となって姿を消してしまう。 そんな偽物の【ミスト】と【引田】にバレないように疲弊しきった表情を浮かべているサンとミストの元へと誠は近寄って、敵に気付かれないように小声で囁いたのだ。 「___作戦って……作戦も何も攻撃すら碌に届かないんじゃ……お手上げだよ。そうだよね、サン……?」 「いいや、私は__マコトの言う事を信じる……一縷の望みがあるのであればだがな。だが、信じてやろう……お前は__仲間なのだから……」 「仲間だから信じるっていうサンの言葉は分かるけど___でも、まだ……ユウタとヒキタとライムスが……っ……それに……」 と、いつもは明るいミストが珍しく弱気な表情を浮かべつつ呟いた時___、 『キーン、コーン……カーン、コーン……』 『キーン、コーン……カーン、コーン……』 ガシャァァァン…………!! 少し離れた場所から、誠にだけは聞き覚えのある学校のチャイムが聞こえて辺り一帯にけたたましく鳴り響く。 そのチャイム音は、思わず耳を塞いでしまうほどの大音量で、それはベタである偽物の【ミスト】にとっても同じらしい。今まで余裕そうだったのにも関わらず音が聞こえてから暫くしても身悶えているのだ。 「み、みんな……っ……ごめんね……遅くなって!!」 「まったく、こういうのは本来__優太くんの恋人である木下誠がするべきでしょ……この借りは返してもらうからね」 誠達と離れ離れにされてしまっていた優太と引田(ライムスも)が___大音量のチャイム音の振動により完全に割れた硝子のような《心の壁》の向こう側から戻ってきて、ようやく仲間同士で再会するのだった。

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