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反撃②

◆◆◆ その後、再会した僕らはそれぞれ作戦通りに反撃を開始した。 誠に言われた通り___サンは弓矢で《電柱の騎士》を操っていた【歩行者用信号機】が赤色になるタイミングを見計らって(実際は敵に気づかれないように誠が合図してた)攻撃し、手に持っていた《街路樹の剣》で僕らに攻撃を仕掛けてきていたヤツらの動きを止めた。その際、なかなか普通の弓矢ではダメージが通りにくかったためライムスが体内に取り込んでいた小さい《彫刻刃》を弓矢にくくりつけて再度攻撃した所___【電柱の騎士】の大群が一斉に攻撃の手を止めてその場に静止させる事に成功した。けれども、ヤツらの存在を消し去る事は出来なかった。 それから少しして___、 「よし……本来なら取っておくべき物で、凄くもったいないけど……やっぱり今、この胡散臭いアイテムを使っちゃおう。一生、こんな所にいるなんて__死んでもご免だよ……」 「で、でも___ご主人さま……それは、大事に大事に取っておいた魔法アイテムじゃないのデスか!?一度、これを使おうとした時__ライムスは酷く叱られ……っ……」 「あのね、ライムス___ダイイチキュウの住人でもなければニンゲンでもないスライムのお前には分からないかもしれないけど……背に腹は変えられない状況なんだ……さて、そんなお前に頼みがある」 ごそ、ごそと引田が懐から紙とクレヨンを取り出すと、何かを書いてライムスへと見せる。どうやら、前の【マネマネさんがいた世界】から無断で画用紙何枚かとクレヨンを持ってきていたらしい。 『…………に……なれ……』 「わ、分かったのデス!!」 こそっ……と引田が囁くと__ライムスは若干困ったような様子で頷きつつも、はっきりと住人へと返答した。 己の手下ともいえる《電柱の騎士》達が動かなくなった事に不審さを抱いているのか、再び僕らの前に姿を現す偽物の【引田】と【ミスト】___。 「ウイセンサ,ロデ……メア,スカト!! ウイセンサ,ロデ……メア,スカト!!ウイセンサ,ロデ……メア,スカト!!」 引田がまるでミストが普段使っているような魔法詠唱じみた謎の言葉を発してから、いつの間にか懐から取り出して手に持っていた四角い箱を開く。すると、途端に中から何か丸い形を透明な物が勢いよく溢れ出す。 その瞬間だった___。 「ライムス___今だ!!」 ライムスが大きな傘となり、飛び上がりながら急いで僕らの真上に移動する。周囲一帯に透明な丸い雨が降る。形状としてはダイイチキュウで見かけていた霰に近い。いや、むしろ__大きさからいえば飴玉に近いといえるかもしれない。 周囲の建物も___、 僕らを襲ってきた《電柱の騎士》の大群も___、 偽物の【引田】やベタの姿をしていたミストも___、 どんどん黒く変色し、溶けていく。最後には、跡形もなく偽物の【引田】と【ミスト】__それに《電柱の騎士》の大群は消えて行くのだった。 そして、少ししてから___引田がパチンと指を鳴らした途端に酸性のアメは降り止んだ。 僕を含め四人がすっぽり覆えるくらいの大きさの傘に変化してくれたライムスのおかげで、黒く変色する事もなく、ましてやドロドロに溶けなく、このピンチを脱する事が出来たのだ。 でも、問題はまだ残っている___。 引田が使用してくれた魔法アイテムの効力でも溶かしきれない【人魚姫】の黒い膜___。 あの黒い膜を破るには、どうするかを考えなければ美々自身と塔の中に理不尽に閉じ込められて捕らわれのままのダイイチキュウ人達___それにホワリンも救う事は出来ないのだ。

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