「お、終わったの！？あ～あ、ミストの出番なんて無かったね……なんか、ちょっと残念！！」 「いや、まだだ……確かに邪魔なヤツらは消え去ったが、我々にはまだやる事がある。ここは、お前に頼んだぞ、ユウタ……」 何処となくガッカリしているミストと、真面目な顔つきをしながら話すサン。そんな彼らのやり取りを聞いた僕は、コクリと頷きながら＿＿未だに海月の形を保っている黒い膜に覆われて眠り続ける【人魚姫】と真っ白なウサギの縫いぐるみと化したホワリンの元へと近寄っていく。 「……っ…………！？」 「俺も一緒に行く＿＿＿いや、一緒に……行かせてくれ……優太、お前一人だと無茶をしそうで危なっかしいからな」 誠が少し照れくさそうに笑いながら、僕の手をギュッと握る。大好きな誠の咄嗟な行動に、僕の頬はまたしても林檎色に染まる。自分でも分かるくらいに心臓が早鐘のようにドクドクと脈打っていて、すぐ隣にいる誠にまで聞こえてしまうのではないかと思った僕はあまりの恥ずかしさから思わず無言になってしまう。 「いってらっしゃい……ユウタ、マコト＿＿必ずホワリンとミミを助けてくれるってミストは信じて待ってるからね……」 「……うまくやらなかったら承知しないぞ」 「希望に満ち溢れてる今の優太くんと木下誠なら＿＿きっと、あの女の子とホワリンを救えるはず……迷いは捨てろ……ぼくの言葉を覚えてて」 大切な仲間達に励まされつつ、僕と誠は【人魚姫】とホワリンの元へと移動していき、目の前でピタリと動きを止めた。 ついさっきまでと違うのは、海月の形を保っている黒い膜に覆われた中で眠っている【人魚姫】とホワリンの周囲に《目覚まし時計》、《学校の校舎にかけられていた時計》、《外国にあるような街灯》が待ち構えていたかのように浮かんでいる事だ。