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Ψ休戦Ψ

◆◆◆ 「___なるほど、つまりはキミ達が美々ちゃんを救ってくれたんだな。情けない事に、突然現れた蜘蛛の化け物に噛まれてから、俺たちは気を失ってしまってたんだ__まったく、女の子一人碌に救えないなんて……リーダー失格だな」 「いいえ……そんな事はありませんよ。リーダーさん___きっと、大切な恋人を失った美々さんにとって……リーダーさんは欠けがえのない存在となる筈なんです」 マ・アと名乗る黒いランドセルを背負った女の子と出会った後、僕ら一行は元の【死と始まりの塔】へと戻ってきた。ほぼ同時に、僕らがハッと目を覚ました時には___ドクターCの姿はおろか、マ・アと名乗っていた黒いランドセルを背負った女の子の姿さえも何処にも見えなかったのだ。 その後、気を失ったかのように深い眠りに落ちていた理不尽にダイイチキュウからミラージュへと連れて来られたリーダーや他の面々が喜びを露にしつつ彼らよりも後に目を覚ました僕らの元へと駆け寄ってきた。 そして、皆で祝杯をあげ___今に至る。 因みに、つい先程まで__僕と引田と美々さんとでダイイチキュウから連れて来られた人々(いわゆるオタクという人達)からリクエストされ、何故か彼らが持っていた地がピンクで白いフリル次のメイド服を着てアイドルのように歌と踊りを披露していた。 酔っぱらったダイイチキュウのオタクじみた人々から、時々ピーピーと口笛を吹かれ、辺りに響くくらいに盛大に拍手されたせいで凄く照れくさかった。でも、その反面凄く楽しめたのは仲間が誰ひとり欠ける事なく戻って再会できたおかげだと思う。先程までは憂いを帯びた表情を浮かべていた美々さんの笑顔も見れたからだと思う。 ライムスは女の子達に「可愛い」「柔らかい」などと言われてマスコットキャラクターみたいに大人気だし、サンもサンで女の人達から「この衣装を着て××様のキャラクターのコスプレして下さい」「××様みたいで格好いい!!」などとお願いされて、面倒くさそうな表情を浮かべながら迷惑そうにしつつも何だかんだで彼女達の願望に答えているようだった。因みに、サンが彼女達からコスプレして下さいと言われたのはダイイチキュウで大人気なアニメに出てくる××という悪役のものだった。 ホワリンは疲れ果てたのか___未だにシリカの腕に抱かれながらスヤスヤと眠りこけている。 そのすぐ側で、アイドルじみた行為をするのに疲れ果ててしまった僕はミストが魔法で出してくれた酒をチビチビと飲んでいたリーダーと共に今まで起きた事を話すのだった。

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