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仲間全員で脱出するためにライバル同士は奮闘する⑤

ワニ面の男と____ぐるる、と牙を剥き出しにして涎を垂らしつつ唸り声をあげている二匹の犬のような生物が誠達の行く手を阻む。黄金の毛を逆立てながら唸り続ける様を見るに、今にも襲いかかってきそうな犬のような生物とは裏腹にワニ面の男は無言で此方を見つめるばかりだ。 ワニ面の男が何を考えているのか分からず、目線を向けて様子を伺う事しか出来ない誠達___。 しかし、唐突に____ワニ面の男が行動に出た。両腕を、犬のような生物に自ら噛ませたのだ。今までは人間の姿に近く、頭にワニ面を被っていただけだった男の姿がどんどんと奇怪な姿へと変わっていく。ダイイチキュウに暮らしている人間と同じ黄色い肌は、みるみる内に固まったマグマのような赤黒い皮に覆われていく。湯が沸騰する時のようなぐつ、ぐつという音を体から発しながら、最終的には赤黒くマグマのような皮を持つワニという人間離れした姿へと変貌を遂げたのだ。 もはや、今までのような人間に似ていた姿の面影はない。 【グォォォォー……ッ……!!】 まるで、ダイイチキュウにいた時に見た蛹が脱皮して蝶へと生まれ変わった時のように、変貌を遂げたワニ面の男は辺り一面がビリ、ビリと振動し黄金の山に積まれたコインがどんどん崩れてしまう程に強烈な叫び声をあげる。 そして、それが攻撃を開始する合図だといわんばかりに___黄金の毛を逆立てながら今にも襲いかかってきそうだった犬のような生物が、あまりにも大音量の叫び声を聞いて顔を歪めつつ両耳を塞いでいる誠達へと二匹とも一斉に襲いかかってくるのだった。 「木下誠____何をボーッとしてるの……っ……早く猫の絵が彫られた煉瓦を探さなきゃ……っ……!!」 「____そ、そうだ……引田、お前も一緒に探してくれ!!優太は__俺から離れるなよ?あのワニの化け物とイヌの化け物は……ミストとサンに任せよう。俺らは碌に攻撃は出来ないだろうからな……むしろ、足手まといになりそうだ」 そう言いながら、誠は優太の手をしっかりと握りながら【猫が彫られている煉瓦】を窪みに嵌め込むという本来の目的を思い出して慌てて走り出すのだった。

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