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~砂の神殿からの脱出~

◆ ◆ ◆ 誠と引田を含めた僕ら三人は___【猫が彫られている煉瓦】を手にしたまま、ミストとサンが苦戦している黄金の海と化した間へと急いで戻って行く。 【猫が彫られている煉瓦】を壁画の窪みに嵌め込んだ途端、凄まじい轟音と共に立っているのが辛くなるほどに盛大な地響きが僕らを襲う。 そんな不安定な状況に何とか耐えつつ、僕が狙いを定めて出来るだけ勢いよく【セベクが描かれている煉瓦】を放り投げると___ミストとサンが協力し合って、ほぼ同じタイミングで矢による物理攻撃と魔力を出来る限り抑えた低級よ《爆発魔法》による攻撃で煉瓦を壊す。 その結果、【黄金のコインの海に潜みつつ攻撃を仕掛けていたサラマンダイルは自ら燃え尽き黄金の灰となり消え去り、サラマンダイルの下僕ともいえる【黄金の毛色を逆立てて襲ってきた二匹の犬のような魔物】は凄まじい地響きのせいで大波のように、うねうねと揺れながら襲ってくるコインの山に飲み込まれてその拍子に互いに背中に生やした剣が突き刺さり、二匹ともほぼ同じタイミングで苦しそうな唸り声を喘ぎながら主人の【ワニ面の男】と同様に最後には風に靡く砂のように呆気なく消え去るのだった。 「は、早く……この神殿から出ないと……この黄金の波に飲み込まれるぞっ……!!」 サンのこのうえない程に真剣な声で、ほぼ呆然としていた僕らは___慌てて砂の神殿の出口へ繋がる廊下を息をきらしつつ駆けて行く。 黄金の波が迫り来る中で、出口の扉から外へ一歩踏み出す寸前___僕はチラリと横の壁画に目線をやった。 どうしても、気になる絵が彫られていたからだ___。 横向きに彫られたスーツ姿の男の忠実なしもべである蜘蛛女の【アラクネ】が___崩れゆく砂の神殿から命からがら逃げ去った僕ら一行を待ち構えているというシチュエーションの壁画だ。 (つまり___僕らをこの砂の神殿に辿り着くように仕向けたのは……アラクネってことか――これから僕らがやるべき事は……アラクネを探すこと……いや、アラクネを探すだけじゃなくて彼女を倒さなきゃいけないってこと……だよね……) 「優太……っ___何をボーッとしてるんだ……早くここから逃げるぞ……っ……」 「ご、ごめん……みんな……っ___」 壁画に気を取られて、少し立ち止まっていた僕だったけれど、顔面蒼白となっている誠から__ぐいっと勢いよく腕を引かれたためハッと我にかえると大切な仲間と共に外へと一歩踏み出すのだった。

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