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◆傍観者達は何を見るか②◆

「ドクターC……あなたのその機会で__優太達がいる居場所を検索してみてもいいか?」 「なに、わいのパソコンでとな?むろん、構わないが――成果は期待しない方がよいと思うぞ?まあ、今は研究中ではないやき__好きに使ってもよいが……」 「本当に申し訳ない、心から感謝する……」 心優しいドクターCのおかげで《パソコンらしき物体》を拝借した誠はすかさず画面へと釘付けとなった。しかし、思わず誠は呆気にとられてしまう。言葉を詰まらせてしまう程に驚きを隠せなくなった原因は、優太達には関係のないことだったものの余りにも意外な画像が真っ先に飛び込んできたからだ。 白衣姿のドクターCと思われる男と、スーツ姿の【金野 力】に瓜二つの男、そしてショートカットがよく似合う活発そうな女の人が三人揃って笑顔を浮かべながら画面中に表示されていた。ショートカットの女の人の指に光るモノが一瞬だけ見えたような気がした。 しかも、その画面は時間が経つ度に徐々に切り替わっていく。最初こそ、三人揃った画像だったが――徐々に、ショートカットの女の人の姿はフェードアウトしていき、やがて仲睦まじそうなドクターCと思われる男と【金野 力】瓜二つの男との二人きりの画像へと切り替わっていく。 そして、【金野 力】に瓜二つな男が笑みを浮かべつつもどことなく切なそうな表情をしながらドクターCと思われる男へとキスしようとしていた時だった。 「お友達の_____いや、恋人だったかの。まあ、とにかく優太とやらの行方を調べるんではなかったかいの?わいらのことは、どうでもよいことでは……ないんかいな?ほれ、これで調べるといいやき」 「あ……っ____ああ、済まなかった。ありがとう」 ハッと我にかえった誠は、まるでこれ以上は画面を見ていられたくない、といわんばかりに半ば強引にマウスを奪い取り素早く操作したドクターCへ謝ると同時に例を言った。 《gooるgooー》と画面の中央に表示された楕円形のマスの所に、【優太 青木 居場所】と入力したが、何度試しても一面真っ白な画面しか表示されない。 (やっぱり__駄目か……くそ、他に何か方法はないのか……) と、絶望に囚われてしまった誠がキーボードの上にガクッと項垂れた時だった。 「ふわ~あ……よく、寝たのであるある!!」 今まで気持ち良さそうに眠っていた【マ・ア】が大きく欠伸をしつつ伸びをしながら体を起こした。そして、暫くボーッとした後で此方へと跳ねるように軽やかな動きで近寄ってくる。 「ニンゲンのおにいちゃん、おにいちゃん__マ・アは夢を見たのであるある。うー……どうやら、おにいちゃんたちに話があるこがいるようなのであるある!!ここに呼んでも、よいのであるあるか?」 まだ眠気が残っているせいか、涙ぐんでいる大きな黒目を此方に向けつつ【マ・ア】は《パソコンらしき物体》に釘付けとなったままの誠の裾をクイクイと引っ張ながら尋ねてくるのだった。

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