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◆傍観者達は何を見るか③◆
「我らに話しがある奴だと__?それはいったい……誰なんだ!?」
「ええっ__せ、説明するのは……マ・アは苦手なのであるあるです~。うー、なんか、ちっこくてマ・アくらいの……って、やっぱりややこしいのであるあるです。直接、目にしてもらった方がよいよいです!!」
画面に釘付けとなってる誠を代弁するかのようにサンが【マ・ア】へと尋ねると必要以上にアタフタしながら、その問いに対して答える。
【マ・ア】はどうやらサンが苦手らしい。
それは、周りにいるミストや引田が見ても明らかだった。サンが話しかけた途端に【マ・ア】はドクターCの背後に隠れる素振りをしたからだ。
サンも【マ・ア】に苦手と思われ緊張されている事が分かりきっているせいか、不必要に彼女に近付こうとはしない。しかし、どことなく切なそうな表情を一瞬だけ浮かべた後にその場から離れてしまった。
サンの微妙な変化に気付いた引田は、すぐさま彼を追いかける。すると、雲のように真っ白な壁に背中をつきつつもたれて目を閉じつつ眉間に皺を寄せているサンがいた。
一見すると、【マ・ア】に避けられな事によって、いつものように不愉快極まりないという態度を露にしているように思えるけれども__引田はそうではないと確信していた。
(不愉快極まりない態度を露にして強がるをことで……サンは悲しさを隠しているんだ……もしかしたら、今までも……悲しいことを隠してただけだったのかも……)
そう思うや否や、行動していた。
言葉よりも体が先に前に出ていた。
引田は、サンを抱き締めて――こう囁いたのだ。
「もう、あんたさ――どこまで堅物なの?辛い時は、辛いって悲しい時は悲しいって、ちゃんと言いなよ。ぼくが、全部受け止めてあげる。それに、あのマ・アって子は、あんたを嫌いな訳じゃなくてただ緊張しているだけ。とにかく、何もかも一人で抱え込まないでよ。ぼくが、ずっと側にいてあげるから。ほら、向こうに戻るよ!!」
「ヒキタ、お前は何を勘違いしている?私は……ただ眠くなったから、この場に来ただけだ……だが、まあ――お前がどうしてもというなら戻ってやろう」
減らず口をたたくサンに呆れ、顔を真っ赤にしながら引田が身を翻す。
そして____、
「ヒキタ、こっちを向け……」
「何……っ____!?」
背後へと顔を振り向かせた引田の顎を強引に掴んだサンは彼の唇に己の唇を重ねて深いキスをする。
「ありがとう……引田――お前を心から__愛している」
「……っ__ぼ、ぼくも……サンが大好き!!」
二人を呼ぶために少し離れた場所からミストがニコニコしながら覗いている事など微塵も気付かなかった引田とサンは、その後ドクターCのいる研究室へと戻って行くのだった。
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