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【ユйёウ*タ】と【アёオЁеキ】があらわれた①

しかし、周りが騒がし過ぎるせいで一回だけの合図ではミスト達は気付かないようだった。 そのため、誠はもう一度テーブルを叩こうとした。 すると、背後から突然誰かの気配がした。そして、それと同時にトンッと肩を軽く叩かれたため反射的に振り返る。 【あ、やっぱり__アズキ の 言うとおり 、 ここ に 来たんだ?よかった…… ……おかげで 手間が 省けたよ】 【ああ 、ヤツ の 言っていたとおりだ……悔しいけど ……アイツをリーダーとして認めざるをえないな …… ……】 いつの間にか、誠の背後には会いたくて堪らなかった恋人の優太とクラスメイトの青木が立っていたのだ。 「ゆ、優太……っ___それに、青木も……お前ら……無事だった……のかっ……」 と、思わず椅子から立ち上がろうと身を乗り出した。 目の前にいる引田は先ほどあら探していた優太と青木が現れたにも関わらず何故か無表情のままじっと此方を観察していた。 「だめっ____今すぐ……こいつらから離れて……っ……」 急に真面目な様子で引田が叫ぶ____。先ほど計画した段取りなどお構い無しといわんばかりのその剣幕に、誠は驚いて二人に近寄ろうとしていた足をピタリと止めた。 けれど、既に時遅し____。 先ほどまでは、彼らの右上になかった【ユйёウ*タ】と【アёオЁеキ】という文字がかかれた吹き出しが現れた瞬間、懐に隠していた双剣を取り出した【ユйёウ*タ】が何の躊躇もなく誠へ向かって襲いかかり切りつけようとしてくる。 間一髪の所で、切羽詰まった様子の引田が勢いよくテーブルをひっくり返す。ガシャンッと音を立てながらテーブルが床に落ちるという光景は、一瞬とはいえ【ユйёウ*タ】を混乱させ、それとほぼ同じタイミングで仲間であり恋人でもある優太から攻撃され危害を加えられそうになったことで呆然とするしかない誠の手をグイッと引き寄せてから駆け出す。 引田がそうしたのには、おかしくなった優太と青木から一刻も早く離れることと、居場所が死角となっているせいで未だにこの異常事態に気付いていないミスト達に一刻も早く警告するためだ。 『多分だけど、ぼくと誠を襲おうとしてきたということは……同じようにミストやサン達にまで危害を加えられる可能性がある――早くこの宿屋から出て作戦を改めて立て直さないと……っ____』 厄介なことに、今まで誠と引田がいた所からミスト達のいる場所までは多少距離がある。しかも、そのためには宿屋の宿泊部屋に続く階段の前を通らなければならないのだ。 「……っ…………?」 誠の腕を引きながら必死でミスト達の元へ到着するために駆けていた引田だったが、ふと違和感に襲われた。先ほど、あれほど勢いよく誠へと襲いかかろうとしてきた【ユйёウ*タ】と【アёオЁеキ】という存在が何故か立ち止まったままびくともしない。 普通ならば、すぐにでも引田達を追い掛けてくるシチュエーションだというのに____。 (おかしい、何でこの状況で……ぼくらを追い掛けて来ないんだ……何か――嫌な予感がする……っ……) 引田が胸騒ぎを覚えた、ちょうどその時____、 【ユウタ 、 アオキ …… ……俺 の 言った とおり だった ろ ? その 6ぴき の《バグインシ》たち は オマエ ら ヲ 探し て ここ に 来るって …… ……だが 、 今 は これ 以上 は 攻撃しちゃ ダメ だぞ ? いくら 、レア アイテム が 手に入る からといっても な 】 今まで誰の姿もなかったにも関わらず階段の前に__尚且つ、一瞬にして唐突に現れた【アズキ】が仲間である【キナコ】、【マッチャ】を引き連れて誠と引田の前に立ち塞がるのだった。

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