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誠はピンチを打開するアイディアを思いついた!!①

とはいえ、この状況はなかなか厳しい。 サンの弓矢のような物理攻撃も効かなければ、攻撃魔法を唱えられる者もいない。ミストは防御魔法を詠唱しながら三人のダイイチキュウ人を守ることで精一杯だ。 ふっ___と、かつて記憶の中にしか存在しない妹の雪菜の言葉を思い出す。もはや、現実逃避としかいいようがないかもしれないが、何かヒントとなることがあるかもしれないと思い至ったからだ。 『ねえ……おにいちゃん__このキャラクター……全身が真っ黒だね。どうして、ほかの仲間のキャラクターみたいに姿がハッキリと見えないの?まるで、インクみたい……持ってる剣とかはちゃんと見えてるのに__なんか、かっこわるい!!』 『馬鹿だな、雪菜は__。確かにこのキャラクターは変だけど、攻撃が効かないし――おにいちゃんが考えた最強のキャラクターなんだぞ?あっ……そっちに行くと危ない……っ……!!何だって、そっちは____が……』 必死で思い出してみたものの、ろくなヒントになりそうもない。というよりは、何かありそうな気がするのに肝心の箇所が、どうしても思い出せないのだ。 しかし、グズグズしている暇はない____。 次なる【アズキ】の標的となるのが――今度は雪上にぐったりと倒れている優太となってしまうのが分かりきっていたからだ。 それに、優太だけでなくミストも危険に曝されている。というよりも、今まさに【アズキ】は防御壁を張り続けるミストに向かって攻撃を仕掛けようとしていた。 【アズキ】の右手には赤いリボンのついた包丁――ではなく、【アズキ】と同化してしまう前までは奴の仲間だった【キナコ】が手にしていた杖____。 その杖を、降りかざすと何と奴は魔法詠唱もなしに軽々と爆発魔法をミストが張っている結界へ向かって放ったのだ。 「ま、まずいよ……誠___もう、そろそろ結界の限界が……っ__」 ミストのその言葉通り、今まで何とか張れていた結界がビキ、ビキと徐々にひび割れていく。ミストが気合いと魔力で踏ん張ったおかげで何とかすぐに崩れるといった最悪の状況は回避したものの、やはり自身で打開策を作らければならないと感じた誠は頭の中で幾度となく考えを張り巡らせる。 すると、ふいに__今まで結界の中にいたライムスが誠の方へと近寄ってきた。何故か、青と黒のマーブル模様となっているライムスに疑問を感じたものの、そんな場合ではないと思い直した誠に向かってマーブル模様のライムスが勢いよく飛びかかってきた。 単に飛びかかってきたというよりも、ふいに人型へと変化したライムス(青と黒のマーブル状のまま)は誠の唇へと軽くとはいえ口付けけてきたのだ。 しかしながら、その瞬間に雪菜とは別の存在との幼き頃の思い出や最近の記憶までもが明確に、誠の脳裏に浮かびあがってくるのだった。

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