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誠はピンチを打開するアイディアを思いついた!!③

その直後、誠が投げたサンの矢の鋭く尖った先端は【トカゲのアス・イムリク】の右目に突き刺さる。 しかしながら、誠はこの方法で【トカゲのアス・イムリク】に大きなダメージを与えようなどとは思っていなかった。 物理攻撃が効かない【アズキ】が、自在に操っている今では、大ダメージを与えられるということは期待できない。 では、誠は何故――このような行動に出たのか。 それは、元々ダイイチキュウで飼われていた【トカゲ】の本能を刺激し、なおかつ途徹もない《怒り》の概念を思い出させるのが目的だった。 もしも、それが成功すれば【トカゲのアス・イムリク】は【アズキ】に好き勝手に操られ空中を浮遊しながら攻撃を繰り出すだけではなく、きっと他の行動を起こすに違いないと思い、誠は大きな賭けに出たのだ。 その甲斐もあって、【トカゲのアス・イムリク】は地上へと着地した。背中からトンボに似た両翼が生え、見た目がドラゴンのように変化したからとはいえ四肢があることに変わりはなかい。 つまり、空中で飛びながら誠を追い掛けるよりも降りつもる雪に覆われた地上へと下降し着地してから自らの四肢を駆使しつつ走って追い掛けた方がいいだろうと【トカゲのアス・イムリク】自身が判断したのだ。 【トカゲのアス・イムリク】のこの行動に関しては、さすがの【アズキ】も予想外だったらしい。僅かながらとはいえ、動揺を隠しきれない様で、『あのエルフ(ミスト)の結界を破れ!!』と命令している。 【アズキ】が焦りかけている様子を脇目で確認しつつ、誠は更に次なる行動へ出る。 それは、最初にこの白銀の雪景色に来た時 、シリカが足をとられ尚且つ転んでしまい、ずぶ濡れになってしまった場所を探すことだ。 とはいえ、シリカが雪に足をとられ転んでしまったのは大分前に起きたことた。しかも、当の本人も此処にはいない。あれからずっと行方不明のままなのだ。 つまり、本人に尋ねることは出来ないということ。 かといって、この広大な白銀世界の全てを確認することなど砂漠に落ちた小さな宝石を見つるが如く不可能に近い。それでも、時間があるならばまだしも、この大ピンチを迎えている状況ではモタモタしている暇などないのだ。 (くそっ……せっかくアイディアを思いついたというのに、結局は壁にぶつかってしまう……ここまでか――) 大地がゴゴゴと揺れ、辺りには《怒り》に支配された【アス・イムリク】の凄まじい咆哮が響き渡る。 その背中には、笑みを浮かべている【アズキ】の姿___。 結局、【アズキ】は【アス・イムリク】の暴走を止めることは出来なかったらしい。 しかしながら、誠達に対して襲いかかるのを中止した訳ではないので地上での攻撃へと切り替えたところで些細な違いにしかならず不利には陥らないの判断したのか余裕そうな笑みを浮かべたまま【アス・イムリク】の予想外の行動を受け入れたようだった。 その様子を見て、再び誠の頭に__ある考えが閃いた。 その考えが閃いたのは、隣でグッタリと倒れている優太のおかげだ。 (そうだ……この白銀世界で__転んだのは尻もだけじゃない。優太だって、さっき尻もちをついていた……そして、優太が尻もちをついた場所___つまり、あそこにアイツを誘導すれば……っ……) 優太もシリカも体型を的には、それほど変わらない。違ったのは、シリカが転んだ時は氷を真下にある水の中に落ちたけれども優太は落ちなかったという事実だけ。 (それくらいしかない小さな違いだったら……いくらでも修復できる……大切なのは、うまくいくのを信じて行動すること……っ……) そして、誠は最後の賭けに出る前に側で待機していた黒と青のマーブル状になったライムス(たち)へとコソッと己の考えと頼みごとを簡潔に囁きかけるのだった。

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