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誠とスライム二匹の反撃!!①

大きく開かれた口から、凍てつく息を吐きながら――どんどんと【トカゲのアス・イムリク】は此方へむかって己の四肢を駆使しながら勢いよく前進してくる。 いくら、今のピンチを打開する策が思いついたとはいえ油断は禁物だ。あの凍てつく白いモヤモヤした息を一度でも喰らってしまえば、この狂った白銀世界で一生を過ごすこととなり、何なら【アズキ】によって鑑賞用のオブジェとして扱われるかもしれない。 決して侮辱しているわけではないけれど、青と黒とが混じり合いマーブル状となった珍しいスライムであるライムスは__鑑賞用としてピッタリだなどと場違いなことを頭に思い浮かべながらも誠(二匹のスライム)は目的の場所を思出そうとする。 目的の場所は、少し前に優太が尻もちをついたところだ。シリカが転んだ時と違って、優太が転んだのは少し前のことだから明確な場所は分からないまでもだいたいの目星はついている。 一瞬にして何をかもを凍らせてしまいそうな凍てつく息や人間の腕くらいはある氷柱を吐き出しつつ、誠達に狙いを定めて猪突猛進してくる【トカゲのアス・イムリク】_____。 その度に、ズシン……ズシンと白銀に覆われた大地が揺れる。しかしながら、氷が割れることはないし、小さなヒビすらはいらない。 それは、地表の氷がとても分厚いせいだ。 「……っ_______!?」 もう少しで、目星をつけていた場所にたどり着く_____と誠が安堵したのも束の間――【トカゲのアス・イムリク】は一筋縄ではいかないことを痛感させられる。 いつの間にか、すぐ背後にまで迫っていた【トカゲのアス・イムリク】の太い尻尾が誠の体を捕らえ、巻きついた離さず、空中へと降りあげられた後に硬い雪氷に覆われた地に叩きつけられてしまったのだ。 巨大化した【トカゲのアス・イムリク】の尻尾攻撃は誠が油断した一瞬の隙に繰り出されたとはいえ、強烈なダメージを与えた。 腕や足、それに体全体に凄まじい痛みが襲ったのは無数の傷ができたせいで真っ赤な血が吹き出していたせいだ。 更に、誠に追い討ちをかけたのは今もなお降り続けて止まない吹雪のせいだった。体がズキンズキンと痛むだけでなく、その寒さが誠から情熱を奪い体の体温も奪ってゆく。 目に涙を浮かべ、それでも諦めきれずわなわなと震える手を伸ばした誠は何事かをポツリと呟いてから両目をすっ、と閉じる。 暫しの静寂が、辺り一面の雪景色の中を包み込む――。

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