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三人のダイイチキュウ人との別れと研究室での再会①

* 「まったく……いきなし、お主らさんらが現れたやきに何事か思うてしもうたわ。わいの研究室をこげに水浸しにしおって……この借りは高くつくやき覚悟しときやな。ほれ、お主らさんらが天から降ってきたすけに……こん模型が粉々に壊れてしもうたわ」 「すっ……すみません――ドクターCさん……」 それから、気付いた時には既に吹雪が荒れ狂う白銀世界から【ドクターC】や【マ・ア】のいる研究室へと戻ってきていた。 いや、戻ってきたというよりかは降ってきた__という方が正しいのだろう。 ドクターCの言う通り、氷河の中へ沈んだ筈の僕ら一行は研究室の天井から唐突に落ちてきたのだ。 そのため、【憧れの白き世界】と題が書かれているドクターCが大事に保管していた真っ白な球体模型は粉々に砕け散り、僕らの体は一斉に地に落ちてしたたかに尻を打ち付けてしまった。 その痛みに耐えながら、何とかゆっくりと立ち上がった僕ら一行は無事なことを確認しあい、互いに抱き締め合って、今ここにいれることの喜びを噛みしめた。 すると____、 「あ、あの……ここは――何処なのでしょうか……少なくとも……戸宇京ではないですよね?」 喜びを噛みしめている僕らとは裏腹に、困惑しきっている表情を浮かべた三人のダイイチキュウ人達が遠慮がちに此方へと尋ねてきた。 彼らを無事にダイイチキュウの《戸宇京》へと返してやらなければ、目的を果たしたとはいえないのだ――と思い出した僕はちらりと横に立っているドクターCへと目線を向けた。 「あ、あの……ドクターCさん……非常に心苦しいのですが……あなたのその機械で――彼らをダイイチキュウの《戸宇京》へと戻すことは……出来ませんか?」 「うむ……それは構わんが__代わりにお主らの借りが増えることになるやきが大丈夫かの?それでも善きと言うならば、わいが叶えてやろうではないか……こん機械は無事だったすけ、それは可能じゃよ……さあ、如何する?」 ドクターCにそう言われて、僕らは互いの意見を簡潔に確認し合った。 ミストや誠――それに引田はすぐに頷いて賛成してくれた。 その中でサンだけが、どことなく険しい表情を浮かべていたが、特に何も言う訳でもなく暫くしてから頷いたためドクターCに「お願いします」とお辞儀する。 カタ、カタとキーボードを指でたたき《研究室発、戸宇京行き》と打ち終えるなり、三人のダイイチキュウ人はすぐに姿を消してしまった。 碌にお別れの言葉も言えなかったのに――と思った僕だったけれど、それは仕方ないことだと無理やりモヤモヤした心を納得させて、それを払拭するために気晴らしに研究室内を見て回ることにするのだった。

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