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白と灰に染まりし、沈黙の公園と時計台②

* それから、僕とサンは白と灰に包まれた駅のホームを後にして、ひたすら目的地を目指して歩いていた。 町の中は『ヒュォォォ……』という吹雪の不気味な音に包まれてしまっている。 今までミラージュにて過ごしてきたサンはどうかは分からないけれど、元々の性格が臆病な僕には、その風の音が――まるで何か得たいの知れない生き物の鳴き声のように聞こえてしまって心の中は恐怖と不安でいっぱいになってしまっていたせいで進む足取りもサンよりも遅い。 「ね、ねえ……サン____君は怖くはないの?」 「また、そのようなおかしなことを___。ユウタ……お前は、何故そのようなことを聞くのだ?」 「だって、ここ……サンが慣れ親しんでるミラージュじゃなくて僕達が前に暮らしていたダイイチキュウにある町にそっくりだよ。ダイイチキュウとミラージュとじゃ……景色も言語も殆ど違うことの方が多いのに何でサンはそんなに堂々としてられるの?」 まさか、そんなことを聞かれるなどと思っていなかったせいなのか、サンは呆れた顔で僕の目を真っ直ぐに見つめてきた。 しかし、てっきり何か小言を放たれると思っていたのだけれども僕の予想に反してサンは無言で小さく息を吐いただけだった。 「そんな些細なことを気にしていて、いったい何になるというんだ?たとえ、気になったとしても歩みを途中で止めたら――それで終わりだ。しかし、だ――ユウタ。お前は間違っている。私は元々は、とても弱い存在だ……決して____」 と、いつもは冷静で仲間内でも皆を纏める役割を担っているサンがどことなく不安をはらんだかのような瞳をこちらへと向けてきた直後、唐突に前方へと勢いよく転んでしまったのだ。 「サン、大丈夫……っ……!?」 「ああ、平気だ…………」 すっくと立ち上がり、何事もなかったかのように涼しげな顔をして衣服についた砂利を払ってから再び目的地に向かって歩みを進めていく。 その道すがら、サンは何度か転んでしまうことが続いた。そのことが、僕には不思議でならなかった。 ふと、地面へ目線を落としてみる。 けれども、特にこれといった異変は見当たらない。躓きそうな小石等がそこらに落ちている訳でもない。 灰色のコンクリートの道が、ただ前方へと続いているのみだ。 (それなのに、何で__僕は転ばずに、サンだけが…………) そう考えるや否や、またしても転んでしまったサンの体を手伝いながら、彼の足元に存在する道の状態をさりげなく確認してみる。 でも、やっぱり注目すべき異変など見当たらないし――更にいえば、サンの体にも特にこれといった大きな異変は見当たらない。 しいていうならば、サンの膝が赤くなり僅かに傷ができていることが異変ともいえるが、他に体調不良があるわけでもなかったため僕とサンはそんな些細なことなど気にしている場合ではないとそれをスルーして急いで廃公園へと向かって歩いて行くのを再開するのだった。 *

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