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みんなを助けるためには彼処へ行かなくちゃ ①

* ____おかしい。 また、ここに戻された。 《砂場》へと辿り着き、サンと合流した後に公園の出口から町へと足を踏み入れてから、目的の場所まで向かおうと駆けてゆくものの、ある地点に足を踏み入れたと思った瞬間、必ず元々いた《公園》の時計台の前へと戻ってきてしまう。 これまで、その行為を何回も繰り返した。 けれど、今やこれが何回目の挑戦かさえもはっきりとは覚えていない。 ただ分かっていることは《町》のある地点にまで足を踏み入れると、途端に頭がボーッとして何も考えたくなるなるというのと同時に、真上から何かにのしかかられたかのような感覚に陥ってしまい体も重くなりうまいこと動けなくなるということだ。 しかも、その肝心な《町のある地点》というのも、どこなのかは、はっきりとは覚えていない。 そして、次に気がつくと――元々いた《公園》に強制的に戻らされてしまっているということだけだ。 それすなわち、この謎の現象をどうにかしない限り、他の仲間達を助けることなど夢の、また夢ということであり、《町》のある地点に足を踏み入れる前に何としても突破口を見出ださなければならないということ。 問題は、《町》のある地点に至るまでにこれといった異変など感じられなかったという点だ。注意深く、《町》の様子を観察しながら敵が攻撃をしかけてこないかどうか警戒心も怠らなかった。 けれど、特に危険な点など見当たらない。 僕が以前に暮らしていた《ダイイチキュウ》の町並みが広がっていて、懐かしさすら覚えたほどだ。 だけど、公園の出口が目の前に迫ってきた今になって、《町》に行っては《公園》へと戻るといった一連の行動の最中で、今まで繰り返してきた時には感じることのなかった《ある大きな異変》が僕へと無情にも突きつけられる。 隣にいるサンの様子が、おかしいのだ。 体を小刻みに震わせて、心なしか息が荒い。 とはいうものの、既に吹雪は止み、灰色の雲間の隙間からは太陽の光が差し込んできていて、僕らを照らしてさえいるのだ。 現に、僕は寒さなど感じてはいない。 それにも関わらず、同じ場所にいるというのに、サンだけが体を震わせているのは――奇妙としかいいようがない。 僕は、何故――サンが急に体を震わせ始めたのかという理由を考えてみた。 《寒さ》からくる震えじゃない____。 となると、いったい何が理由なのか。 そんなことを考えているうちに、サンの異変はどんどんと激しさを増してゆく。最終的には、激しかった体の震えは少しばかり収まったように見えるものの、サンの容姿は今まで共に旅をした時とは似ても似つかないものとなって僕の目に飛び込んできた。 まず、身長が全く違う。 ダイイチキュウの学校でのクラスメイト達の中でも平均的だった僕の身長の膝くらいまでの大きさしかない。今まで旅をしてきた彼の身長よりも、少なく見ても二倍は小さいように思え、ダイイチキュウの人間で例えるならば大人の子供との差くらいの違いがある。 その両手は、断続的に緑色の光を放つ頑丈そうな鎖によって縛りつけられている。 更に、違いが顕著なのは肌の色だ。 元々の浅黒い肌ではなく、今いるサンの肌の色は緑色だ。すらり、と伸びていた彼のすらりと伸びた鼻は今は凹凸がなくなり平べったい。 共に旅をしてきたサンと今の彼と比べてみて、特に変わっていない箇所といえば尖った耳の形(肌の色は違うけれど)と、背中に存在する斜めの大きな傷があるという点のみだ。

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