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再会、祝福――そして、新たなる戦いが僕らを待っている④
いちばん初めにかけたのは、《顔のない天使》のオーナメント。
それは、ニンゲンのように定まった《顔》を持たず、更にはその概念すらハッキリと理解しているのか曖昧なスライムという魔物の存在を現している。
けれど、僕らのパーティーにとって必要不可欠な存在でもある《ライムス》____。
《ライムス》は、いつでもマイペースとはいえ僕達パーティーにとって笑顔を与えてくれる、そんな存在だ。
そして、二番目にかけたのは、《知恵の実であるリンゴ》のオーナメント。
それは、知恵を象徴する《リンゴ》にふさわしいくらい己の頭を駆使して、今まで何度も僕らを助けてきてくれたダイイチキュウの時の同級生の存在を現している。
三番目にかけたのは、《赤と白のストライプ状のキャンディの杖》のオーナメント。
それは魔法を得意としているエルフであり、尚且つ慈愛に満ち溢れているが、時には厳しさをもって僕らを導いてくれているミストの存在を現している。
四番目にかけたのは、《ベル》のオーナメント。
でも、これだけは蔓の根元にかけても一向に上手くいかずに地面に落ちてしまう。
するり、するり――と僕の手からすり抜けて、何度も乾ききった薄茶色の土に落下してしまう。
しかも、ただ土の上に落ちるだけじゃなくて着地する度に、どんどんとヒビが入っていってしまうため何だか嫌な感じを覚えた僕は仕方なく《ベル》のオーナメントをかけるのを諦めて再びズボンのポケットの中に大事に仕舞った。
何だか《ベル》のオーナメントだけを放っておくような感じがして、本当はそんなことはしたくなかったけれど、いかんせん――今は時間がない。
《ベル》のオーナメントを大切にズボンの中へ仕舞った後、モヤモヤした気持ちを切り替えて、最後の仕上げにとりかかる。
《キラキラと光る星》のオーナメント____。
《星》は僕にとって、いや――ダイイチキュウに暮らす、ほとんどの人々にとっての希望の象徴だ。
そして、それは《星のオーナメント》がダイイチキュウでもう一人の同級生として、そして欠けがえのない特別な想い人として接してきた誠という存在を現している。
(よし、これで……皆を救うための最初の準備は整った……あとは、これを――これをこのチョキチョ木に突き立てて……っと____)
いくら、敵によって造り出された偽りのダイイチキュウの風景に溶け込んだチョキチョ木とはいえ、それをするには――やはり罪悪感が付き纏う。
かつて、ダイイチキュウの教えでは、これからやろうとしている行為は【罰当たりなこと】だと周りの大人達から口を酸っぱくして言われていたからかもしれない。
その思いを振り切るために、軽く左右に首を振ると今度は《ベルのオーナメント》を仕舞った方とは反対側のズボンポケットへと手を突っ込んだ。
そして、この世界に来る前に手に入れていた、《繰り返し何度も反時計回りに回り続ける奇妙な時計の尖った秒針》を取り出すと、それをチョキチョ木の幹に深く突き刺した。
更に、布を引き裂くようにして、その手を下へと勢いよく移動させる。
すると、幹には大きな亀裂ができのだけれど、それから少しして大きな亀裂が完全に開ききったのを目の当たりにした直後、亀裂の中から、なんとダイイチキュウの人間そっくりで青白く光を放ち続ける赤ん坊が出現するのだった。
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