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【朱と蒼】弓葉
「おいで」
と言われて彼の元へ行く。目の前には鏡があって僕達の姿が綺麗に映し出された。ここへ連れて来られた時に短かった髪は、すっかり長くなってしまい彼と同じ長さぐらいまで伸びている。
僕が傍に来てくれたことに満足し、サラサラと髪の毛を弄び始めた。胸元に彼の手が、ゆっくりと忍び寄り長く伸びた爪が胸の尖りを掠めると、彼の意思に応えるように少しずつ中心が反応する。
「あ……ん……」
「すごい、乳首がびんびんじゃないか」
そんな自分の乳首を見たくなくて鏡から目を背けた。その行動が気にくわなかったのか、朱いマニキュアを塗った爪が近づき、顎を掴まれる。だけど、爪を立てることなく指の腹で僕の肌に優しく触れてくれる彼。その手を掴む僕の手の爪は、彼の手によって蒼いマニキュアが塗られていた。
僕の目の色と同じ色、彼が蒼色を好きになるのは時間の問題だった。悪魔のように全身真っ黒だった服装は蒼色に変わり、もう何年も黒いコートを見ていない。少しでも僕の体に触れたくて薄い生地で作られた特注の服を着ている。もちろん、僕は服を与えられていない。
「鏡をご覧よ」
「い、や」
嫌と言うのは、せめてもの抵抗。視界の端で捉えた自分の顔は朱く欲情していた。一度見ると彼の手の力もあり流れるように真っ正面を見据える。
「どうだ? 久々に見る自分の姿は」
「ん……ふふっ……髪の毛が伸びたなって……」
「それだけじゃないだろう?」
「あっん……」
彼の朱い舌が胸の尖りを掠める。爪が当たっただけで敏感になっているのに、彼は焦らすように周りを舌の先で攻めた。つつ……と濡れた場所から空気を感じてヒンヤリし、彼の温かい口の中にねっとりと包まれたくなる。だけど、彼は僕が『お強請り』をしない限りやってはくれない。
「息遣いだけ荒くしたって言わない限り、このままな。 ん?どうした、そんな顔して昔の女にも君はそういう事をさせてたんだろう?人間という生き物は欲深いのだから」
ベッと舌を出して舐めるのをやめてしまった。それだけで僕は絶望の淵に立たされた気分になる。濡れた乳首は渇き次の刺激を求めて立つ。そして下半身も、ゆるゆると立ち上がっていて、このままだと不完全燃焼だった。早く、早く、イきたい……!
「すってっ、ちくびっ、ちくびきつく……!」
我慢できなくなって彼の頭を胸に近づけるように抱き締めた。すると、ジュウッと胸の尖りを吸われる。待ち望んだ快感に腰は浮き、ビクビクと体を揺らした。
「相変わらず、感度がいい」
鏡はずっと僕を映していた。それに耐えられなくなって目を閉じると余計に感じてしまい、頭がぼーっと熱に犯される。僕の胸は彼の朱い目の色みたいに熟れていた。鏡を直視出来るようになって、自分の痴態を恥じる。
「んっ、う、ん……」
いつも彼は僕が理性に戻りかけるとキスをした。人の舌と違いザラザラとした特殊な舌に触れられると、舌でさえも性感帯にすり替わる。トロンと目を潤ませれば彼は、また大好きな僕の胸を舐め始めた。
興奮し硬くなれば薄皮がめくれ敏感になる。彼が興奮し始めると必ず甘いフェロモンが漂い、僕をその気にさせた。中が疼き埋めて欲しいと強請れば、嬉しそうに舌なめずりをして足を大きく開かせる。
「やっ……この格好は……ちょ、っと」
鏡に映し出される自身と蕾。地肌は元々白い所為で蕾が唇のように朱く見える。彼が蕾に指の腹でノックをするだけで、かけられた魔術が解け、中がローションで溢れかえる。魔術というのは不思議なもので、日常では何も影響がないのに、ココはすっかり彼を受け入れる性器に変化していた。
そして、彼自身がボロリと姿を現わすと、蕾は僕の意思に関係なく大きく口を開けて彼を受け入れる。ズン、ズンと大きな体を震わせて、僕を攻めた。
「あんっ!あぁ、はっあっん……」
呆気なく、びゅるり、と吐き出した白濁を指先で掬いあげ、味わうように朱い舌を出し舐める。
「今日もかわいくイけたね。じゃあ、もう一回イこうか」
彼の持続力は人間の何倍もあるみたいで、今日も長い夜は続く。いや、ここに朝は来ない。永遠に暗がりのままだ。それでも、人間界にいた時のように夜を待たなくて良くなったのだから、この暮らしは僕にとって快適なのかもしれない。
FIN.
[感想はこちら→弓葉(@yumiha_)]
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