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第3話

ラシェル視点 ++++++++++ 食後、泉に行った俺は、"まさか"な光景に出くわした……。 全裸の勇者様と動物達が泉で水浴びをしていたのだ。 こ……神々しい……。 この世界の神は俺を試しているのか、それとも何かに対する褒美なのか……。 あ! あのデカイ灰色の狼、勇者様の首と鎖骨付近をベロベロと…しつこい! しかもさり気に……ち、乳首を掠める様に…。く、くそ! しかも何だ、あの白い小猿! 勇者様の頬にチュウをしやがった!? しかもコイツも何度もしつこい!! 腕に尻尾を巻きつけて甘えやがって…! あ…小鳥はナイス。勇者様に小花を降らせている。平和だ。とても平和に見える…。ここだけ見てれば、俺は心穏やかになれそうだ……。 そう…俺は出て行けず、気配を消して大岩の陰から観察中だ。 他にも動物はいるが、主にこの三匹が勇者様と接触している。 「ぅ……うらやま……しく……なんか……っ!」 思わず口から呻く様に声を出してしまった…。 いや、これは強がりだ……。俺はメチャクチャ羨ましい!!! こうして見ると、何となく勇者様は俺より年齢が下の様な気がするが……。 ……あ。泉で泳ぎ出した……。運動神経は良い様だな。 勇者様の横を狼が泳いでる…。 頭にはあの小猿。 泉の中をぐるぐる何周かして、ザバ、と突然泳ぐのを止めて水面から出て来た。 俺は思わず視線を上……に位置付けた。 幾ら髪の毛が長くて下肢がまばらに隠れようとも、何となく見てはいけない気がしたんだ。 そして勇者様が濡れた髪の毛を後ろに……現れた顔は……。 「……!!!」 か、格好良い…。 な、何だ……その容姿は……。 上がり気味の眉に切れ長の黒い瞳。 スッと鼻筋が通った小ぶりな鼻。 薄い唇……。小顔…顎はシャープ……。 全体的にスッキリした感じか? この世界の人間ではない方向性の美形だな。 まぁ、異世界人だから……。 くそっ…その御姿を立体映像で残したい…。 今度そういう魔具を作ってもらおう。 あ。茂みから布と何かを取り出したと思ったら、パンじゃないか! しかもあの形と色合い……俺の夕食のヤツ? もしかして、あの黄リンゴは物々交換……という事か? よし、あの黄リンゴは魔法で最高の保存状態にして家宝……いや、国宝にしよう。 ああ……それにしても、勇者様が動物達とパンを食べておられる……。 食べる表情を観察してみると、嬉しそうだ。 ……と、いう事は、そのパンを気に入った……? 「!」 そうだ! パンだ! パンを大量に焼こう!! プレゼント作戦だ!

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