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第20話
ナフス視点
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―……"最後の勇者ヤマト様と従者二人を城にお連れする……。"
ついにこの時が来たか……といった感じだ。
……ラシェル様の異母兄弟である第四王子、ジークラン様…………荒れるだろうな……。
重度のブラコンだからな。
しかも年々色々な知識を得て、変態性も増してきているし。
ヤマト様に嫉妬して、暴走しなければ良いのだが……。
最悪、ラシェル様をペロリと食べてしまう可能性がある。
成長具合と運動神経が一番長けている、野獣型だからな……。
さながら大型犬……。温厚そうな顔の下は野獣なのだが、ラシェル様は全く気が付かない。
ナフスはラシェル様の妙な無防備さが不安で堪りません……。
「…………」
……いや、あの性格だから無事なのかもしれない。
「―……ナフスさーん、何考えてるンすかぁ?」
「……特には何も……いや、色々だ……」
俺のテントに……遊びに来た、騎士のキース。
……俺の、一歳年下の恋人、だ……。
キースは様々な時間を縫って俺に会いに来てくれる。
まぁ、それは俺も同じだが……。
今は見張りの担当時間が終わって、俺のもとに来てくれたのだ。
「俺の事、考えてくれないの?」
「……キースの事?」
床に座っている俺の太腿に勝手に頭を乗せて甘えてくる。
見上げて、拗ねるような言葉が可愛い。
俺より高身長で肩幅も筋肉もある、男臭い雰囲気なのに、だ。
……キースはどこか気だるげな猫の様で、俺は彼が太腿に頭を乗せてくるのが好きだ。
猫を撫でる様に、キースの頭を撫で少し硬い髪の毛に指を絡めて、耳たぶをくすぐる様に捏ねる。
「俺はナフスさんの事、たくさん考えてるンですよ……?」
「面倒臭がりの、お前が?」
勇者様への動物パンを最初、パン生地を適当に伸ばしただけの棒状の蛇で済ませようとしたお前が?
「ナフスさんへの妄想は特別なンです。俺の最新の妄想、知りたいですか?」
「……そうだな。知りたいな」
いつもの無表情で返答すると、ガバ、と起きたキースが上機嫌で瞳を閉じて顔を近づけて来た。
「んー……♪ ん……ふふっ……ん、んちゅ、ちゅ……」
「……ばか……だな……。……ん、ん……ふぁ……んぁ、ぁ……」
最後は後頭部に手を添えて、俺を引き寄せて普段のヤル気の無さが嘘みたいな感じで唇を重ねられる。
断ってもキースから何度も告白されて、この捜索の旅中に付き合い出して……キスの数がどんどん増えてく。
……身体の方は……"どうしても"じゃなければ、お互い我慢……で、無くなりそうな理性をお互い総動員して触る程度……。
旅中だしな。でも、まぁ……あと数日だ。
……だから、城に帰って落ち着いたら……
「……ね、今、俺の事……考えてくれてました……?」
「ん……。……城に帰ったら、キース……と最後までシたいって考えてた」
「マジ? 俺もナフスさんと早くそういう事シたい……」
すごく満足そうに俺の耳元で囁くキースの声……。
俺の好きな声。
主としてはラシェル様だが、恋人としてはキースが一番だ。
「―……キース、好きだよ……」
細く脆い銀糸で繋がる唇。
幾本、お前と作ってきたかな……。
「俺も、好きです……」
そして今夜も細い銀糸で、互いを絡めてく……
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