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第24話
ヤマト視点
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「―……何だって? 橋が無くなっている?」
ラシェルの鋭い声。
何を言っているか分からないけど、眉を上げて厳しい表情を声色に、あまり良くない事態が起きているのかなと思った。
だから、そっと問題が起きたと思う場所に行ったら、木の橋がごっそり無くなったのだと分かった。
橋の両端しか残ってなく、深い谷だ。
……ここを渡りたいの?
なら、ボクが"友達"を呼んであげる!
幅があって、長い。これが条件。
そうなってくると、選択は一つしかなくなった。
ボクは瞳を閉じて、「ボクの元に来て欲しい」とお願いした。
最初は"ピン"と張り詰めた暗闇の中にいた意識に、何かが絡まってきた。
くるくると身体にまとわりつく様にして、ボクの前で鮮明になっていく。
良かった。直ぐに協力してくれる友達がいてくれた。
そしてボクは瞳を開いた。
「白い大蛇……!?」
ラシェルの声が聞こえた。
どう? 大きくて長いでしょ? これなら、大丈夫だよね?
白蛇さんは見上げるくらい大きい。
来てくれてありがとう! 少し協力してね?
感謝の気持ちを込めて、表面を撫でた。
この子は直に撫でられるから、ボクは撫でる事にしている。
そしてボクが撫で終えるとスルスルと移動して、橋の代わりになってくれた。
良く見たら表面が硬くなってた。器用だなぁ。
「大蛇が従ってる……。そんな……?」
ラシェルが今度は驚いた様な声を上げている。
他の人達も大体似たような反応。
ここで驚いていないのは、呼んだボクとヤトとパルクぐらい。
まぁ、ボク達は慣れているからね。
そんな中、ボクはトトトと蛇さんの上を歩いて対岸に移動した。
そして手を"コイコイ"と呼ぶ動きをした。
動かないし、幅も大丈夫だよ。
そうそう。ボク達は徒歩で移動中なんだ。
ボクの動作にヤトとパルクが動き出してくれて、その後にラシェル達が続いてくれた。
大丈夫、って分かってくれて嬉しいな。
そして全員が無事渡り終わって、蛇さんに帰ってもらう時にボクはお礼の意味を込めて再び撫でた。
すると"ピトピト"って顔を叩くように舐められた。
ふふ。いつもの事だけど、ちょっとピトピトって軽く叩かれてる感じが面白い。
後は再びテクテクと歩いて、だいぶ山を下りた。
ボクは見慣れない景色が増えてきて少し怖いけど、楽しい。
影が長くなる前に、ラシェルは寝床と作るみたいで歩くのを止めた。
ボクは相変わらずスプーンが上手く使えない……。
でも、ラシェルが少し手伝ってくれて、ボク、少しスプーンの使い方が上手くなった気がする!
あとね、『スープ』は『スープ』って名前だった!
ラシェルがボクの口元に、スブーンで食べさせながら教えてくれた。
ボクの知っている感じだから、案外早くに言葉が通じてお喋り出来るかもしれない。
楽しみ!!
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