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第26話

ラシェル視点 ++++++++++ 「……それで、ヤマト様はどのくらい小さかったのだ?」 「……?」 俺の質問にヤトの動きが止まった。 ああ、もどかしい!! 分かりやすく、噛み砕いて……。噛み砕いて……。 「い、幾つくらいの時に出逢ったのか、教えて欲しいんだ、が?」 「……ああ、出会った時か……。どの位だ? 三歳? 四、五歳くらいか?」 「そうだなァ。その位か? 一応、一人で走ったり歩けてたしな」 そんなに小さな……幼い頃から!? あそこまで育つ過程を見て来たというのか! い、色んなヤマト様……を! しかも今の具合から考えて、素直でのびのびとした感じが……。 あ。でも、彼ら、だからああ育ったのか? 「…………」 複雑だ。俺の中では、とても複雑だ……。 もし、ヤマト様がそのくらいの年齢の時に俺の前に現れたら弟と三人で色々遊んだり学んだり出来ただろうに……。 弟とは反対側の手でヤマト様と手を繋ぎ、その小さな手を存分に握れたに違いない! 笑顔も怒った顔も、むくれたり、照れたり泣いたり、あくびや驚いた顔にきょとんとした顔も……全部……全部見れたはず……。 そ、それに……色々な初めてだって、弟みたく俺を頼ってくれたりしたら嬉しいけど……。 ……まぁ、たまに俺でも困る事を頼られたが……。 …………自慰の仕方やペニスの皮むきとか……性的な雰囲気だから、異母兄弟だか他の人に言い辛かったのだと思う。 でもさすがに伽事は聞かれなかったのは救いか。 王族として……あー……まー……一応、両方、それなりの年齢になったら色々と受けるがな! ま、まぁ? それは置いておいて……、それがヤマト様だったら、と思うと弟とは違う感覚が生まれそうだが……。 緊張感が明らかに違うのだ。 そんな弟は見た目は優しそうな雰囲気だが、あまり人と喋らないタイプだからな。……人見知りが激しい……のかもしれない。 俺が他の誰かと親しそうにいると、不安そうに抱き付いてくるからな。 まぁ、それは子供の頃の話で、お互い成長してからはそれが"誰も居ない"所でに変化したが……。 兄二人は大丈夫だと思うが、弟……ジークランはヤマト様とどうだろうか。 仲良く過ごせるだろうか……ナフスは「気を付けた方が良い」と言ってきたが…… 「……あの~~……ラシェル様? ヤマト様の今後は……」 ……ああ、そうだった! 俺はローティスの声で思考の海から戻ってきた。 「そうだ。……決めよう」 ―……それから俺達は話し合って、とりあえずこう決めた。 武術等は騎士団の訓練に混ぜて指導していく事にし、学問関係は主にローティスに任せる事にした。 ローティスが多少ニホンゴを理解しているのが大きい。素早く何かを気が付けるかもしれない……。 そして俺がヤマト様の全般的な世話をする事にした。 従者の二人とは立ち位置が違う。 そして、ヤトとパルクと一緒に翻訳機能の魔具を作る事にした。 城に戻れば更に色々な事があるに違いない。 大変だが、この世界が平和になる為のヤマト様を発見出来たし、我々の希望は潰えてないのだ。 ……そう、ヤマト様がこの世界に存在する限り……!

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