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第33話
ラシェル視点
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「―……白い、フクロウ……ですか?」
「うん。ラシェルは知っている?」
無邪気に俺に今朝の出来事を話し、聞いてくるヤマト様……。
"知っている"もなにも、恐らくその白いフクロウはこの国の守り神……象徴。
その神が、ヤマト様の前に現れて、"知の実"を授けた?
そう言われてみると、言動が少し違うような……。
「……ラシェル、こっちの実の方が美味しそう!」
―ぱく!
「あ」
何と言いながら、ヤマト様が俺の指先にある実を食べてしまった。
その上で「はい」と自分が選んだ実を俺の口元に……。
「……ん……」
―ぷち。
「美味しい?」
「美味しい……です」
「ラシェル……」
「や、ま……ン……」
答えを口にすると、それをさらう様に唇を塞がれ口内に舌が差し込まれた。
絡まり、擦られ、実の一部を奪われる。
俺が抵抗しないと分かると、再び実を与え、唇を舐められた。
口の中にはブルーベリーの甘みとヤマト様の……。
顔に熱が集中してきた……。
これでは……ま、まともな考えが出来ない!
ヤマト様は個人で実を食べ始め、ニコニコ笑っている。
ああ、平和だなぁ。
俺は自分を落ち着ける為に、窓の方へ視線を向け……
「ジークラン……?」
窓の外にへばりついている弟を発見してしまったのであった……。
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