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第38話
ラシェル視点
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「―……私はね、知りたいんだよ。最後の勇者であるヤマトが起こす、この世界の"先"が」
それは知神としての、純粋な知的好奇心……でなのか?
大きく黒い瞳が更にギョロリと開く。
そして違和感無く"フワリ"と神は俺達の前で変身した。
何で……白いフクロウの姿に?
「どうだ? 飛べるし、"力"としても"荷物"にはならない」
そ、そりゃぁ……神様、ですから……。
言いながらヤマト様の近くに歩いて行き、キョロリと大きな瞳で見上げる。
う……正直……可愛い……。
「勇者ヤマトよ、連れて行ってくれ」
【猛禽類の大きな目でのうるうる首傾げ攻撃!! 神の「連れてって」オーラ発動!!】
「…………連れて行こう」
「ヤマト様!?」
【勇者は魅了されてしまった!?】
何という事だ!!
ああ、嬉々とヤマト様の肩に乗る我が国の神が羨ましい……。
だが、我が国の神様……がヤマト様にくっついて行ったら、この国はどうなるんだ!?
「良し良し……では既にヤマトの従者としている半神の狼の様に、私も似た様な事をしようか」
「?」
「基本はこの国を護り、呼ばれれば、半分程度をこの国に置いて行くんだよ。有事の時は合わさるけどね。
そして私はヤマトの"従者"では無く、"友人"として力を貸そう。
だから、『眷属契約』はしないよ? 良いよね?」
「良い」
「良し良し……では宜しく頼むよ……」
そう満足そうに言うとヤマト様の頭の上に乗り、ツンツンと前髪を引っ張って整え始めた神。
そして神の登場にもだが、今までの流れで俺を含めて誰もが呆然としてしまっている。
兄達と弟……自分も含めて、ポカンとしている。
我が国の神を……こう直視出来るのは、そう易い事では無い。……当然だ。それが…………である。
ちなみに世界の神である『竜』の他に、大小様々な神は存在する。神の頂点が『竜』なのだ。
チマチマとヤマト様の髪をいじっていた神だが、急に再び喋り出した。
「よし! 男前な顔が現れたな! さぁ、私と"友人"になろう!
良いかいヤマト、君は無闇に『眷属契約』しない方が良いよ?
まぁ、君の育ての親である半神達は別にして、今後は私と同じ様な『友人枠』で契約するんだ」
「……え……? それはどうすれば……?」
「仲間にしたい相手の目を見て頭を撫でて、『共に行こう』的な事を言って相手が頷けば、距離や同行関係無く召喚扱いで、ヤマトが相手の名か姿を思い描いて呼べば友人になった者が現れるよ」
そう言うと我が国の神は「さ、頭を撫でて言葉を口にするんだ。私と友人になろう」とヤマト様からテーブルの上に降り立った。
白いテーブルクロスの上に白いフクロウが……。
ヤマト様は直ぐに神の目を見ながら頭を撫で、言われた通りの言葉である「共に行こう」と口にした。
すると白いフクロウ姿の神は目をニコリと細め頷き……
「私の名は、"シュネヴィー"。ウィオーレの象徴たる知神。呼ばれれば姿を現し、力を貸そう。
さて、友人契約は済んだ。私はヤマトの育ての親達に挨拶に行こうか……」
……と言って、"スルリ"と消えてしまった……。
やはり誰も声が出ないし、動けない。
ヤマト様ですら、神が消えた場所を凝視中だ。
しかし、今までの流れでヤマト様の勇者としての能力が『テイマー』である事が分かった。
特に指定が無いのが……正直恐ろしい……。
既に分かる範囲では、半神のヤトとペルク、そして我が国の知神・シュネヴィー、それに元居た山の動物達や大蛇……中には魔物も居るかもしれない……。
俺はそうツラツラ考えて冷や汗が出てきた……。
しかしそんな中、
「……―……あ――……、話しても構わないかな?」
次兄であるルキラニアから声が上がった。
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