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第39話
ラシェル視点
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「S.A.M.D.……ドールの事なんだが、良いか?」
ルキラニア兄上の研究されている分野の話か。
「男は"アレキオ"、女は"フィオ"と言うんだ。
ちなみにアレキオは遠距離攻撃、フィオは近距離攻撃を得意としている。
魔力があるうちは様々な補助魔法効果が、ドールから5メートル以内なら恩恵を受けられる仕組みだ」
そうか……俺が捜索の旅に出ている内に随分研究開発が進んだみたいだな。
ルキラニア兄上の話しから判断すると旅の同行も可能そうか?
「ラシェル、今度勇者様と一緒に見に来て欲しい」
「分かった、兄上。行く時は連絡を入れる」
俺はルキラニア兄上の言葉に頷いて返事をした。
そうだな。実際会ってみた方が良いな。
そして俺達の話しが終わったのを見計らって長兄のランシェード兄上が話し始めた。
「勇者発見時に各国にその話しはしたし、我が国も含めて自国民達に今日中に発表する。
しかしヤマト様自身のお披露目は日を改めて……と考えている。
……今日から暫く、討伐とは別な忙しさだ」
ああ……ランシェード兄上の目が遠くなる……。
外交は主にランシェード兄上が仕切っているからな。
「では、お披露目時の警護は俺が主体となりましょう」
ランシェード兄上の後にジークランが声を出した。
そうだな、そこは騎士であるジークランが適任だろう。
はぁ……こう……いざ渇望していた勇者様……ヤマト様を得たが本来の目的である狂竜討伐まで長い回り道をしないといけなさそうだな……。
俺はそんな事を考えながらヤマト様を盗み見た。
「?」
「!」
……目が合って、驚いた。
まさか見られているとは思わなかったから……。
う……今は顔全体が分かるから……でもないが、ドキドキしてくる。
そうだヤマト様を整えたり、服や旅支度とかもしないと。
……ま、街に買い物に……二人で色んな店を回ったりして……。
さりげなく質問や薦めたりして、好き嫌いを把握していこう。
そして俺はそんな事を考えながら朝の食事会を終えた。
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