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第31話

 ただ、こうして二人で触れあっていると、お互いの肌から伝わってくる気持ちが下半身に熱を持たせ、止まらなくなってゆく。  首筋に柔らかいものを感じて、密の心拍数が上がった。触れたのは類の唇。  仰向けになった密の片方の太腿を跨くように身体を重ねたまま、唇がゆっくりと首筋を辿ってゆく。  太腿に当たる密のそれがぐっと硬く大きくなるのを感じて、類も自分のものが熱くなるのを感じた。背中にある密の掌が、少し迷って類の腰をさらに引き寄せる。  類が怯えた日から密は腰より下に手を伸ばすことはなかった。  しかし今密は、類の脚の間に絡めた自分の脚を少し立てて、固くなっている相手の下半身をさするように何度も揺らしていた。している方も、されている方も、気持ちと身体が昂ぶってゆく。お互いに我慢できなくなってゆく。  密が動くのをやめて類を抱く腕に力を込めると、声を出さないように耐えていた類が甘く吐息を漏らした。 「類、誘ってる?」  顔が見たくて、肩を持って身体を離した。紅潮した頬に、潤んだ瞳。  何と言えばいいのか分からず、直接的な物言いになった言葉に、類は何も答えなかった。その代わり、もう一度密を抱き寄せて身体を密着させた。 「はぁ…、密の、でかくなってる。きつい?」 「ん…そりゃ、まぁ」  僅かに身体を引いて類が密を見下ろす。2人とも何か言おうとして躊躇っていた。くっと喉を鳴らして唾を飲んだ後、類が先に口を開いた。 「…手で、しよっか」  ズボンの中で窮屈になっているそこを類の手が布越しに撫でた。驚いた密の顔が真っ赤になる。 「触るの?平気?」  起き上がって、密にも起きるように促しながら類が冗談めかして答える。 「自分のなら触ったことあるから」 それから、少し躊躇って続けた。 「密こそ、平気?…嫌だったら、正直に言って」 言われた意味を考えて、密は黙って頷いた。  ふっ、と類は表情を緩めて視線を落とした。ベルトを外し、ズボンと下着を脱がせてゆく手は震えていたけれど、密は止めることができなかった。  その代わり、自分も同じことをしようと相手のズボンに手を掛けた瞬間、類の身体がビクっと跳ねた。 「あ、俺…も、って思って」  言い終わる前に『しなくても、大丈夫だから』と言うように、俯いたまま頭が左右に振られた。  狭いベッドの上で既に張り詰めた密のそれを取り出した後、類は自分のズボンと下着を下ろし、正面に向き合って座り、腰を近づけた。中から出した二人の熱の先端は既に濡れており、衝動を掻き立てる匂いが部屋に広がる。  二つの若い欲望を掌で包みこむと、類は不器用な手つきでゆっくりと擦り上げていった。 腰がじわりと熱くなる。先端からあふれる液を親指で擦り広げて、息を荒くしながら扱き上げる内に類の頭は密の肩口に預けられていた。  脱力した体重が心地いい。手と、昂ぶってゆく感覚にだけ集中しながら呼吸を荒くする類が健気で愛おしかった。  シャツの下から手を潜り込ませて類の背中に触れると、汗ばんだ皮膚がしっとりと吸い付いてくる。  俯いたままの類の頬に手をあて、上を向かせて密は唇を重ねる。触れている掌と、触れられている屹立が溶け合ってお互いの欲望が高まってゆく。せり上がってくる快感に、咥内で絡まっていた舌は時折動く事を忘れていた。  熱い塊を押し上げて開放しようと急かす様に類が手を動かすと、二人は繋がった口の中で小さなうめき声を上げて果てた。

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