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第43話

 通り雨の後の空港は夏の気温と湿気に包まれているのに、どこか乾いた匂いがする。 ――不思議だな、光も空気も全部違う。  そう思いながらサングラスを外した密は、ガラス越しの外の強烈な日差しに目を細めた。  初めての一人旅はパスポート連れの旅になった。  大学に合格した後いつもつるんでいた友達との卒業旅行も断った密を、もう仲間から外れるものとして連絡してこなくなった友人もいた。  勝田と堀田だけが、それとなく傍にいてくれた。  でも、密はなにも後悔していなかった。  バイトをしながら旅費を溜めて類に会いに行く。そう決めていた。しかし、ずっと待っていた連絡は季節が移り変わっても来なかった。  夏休みを過ぎれた頃には、目新しいことばかりだった大学生活にも慣れる。誰とでも物おじせずに付き合う密は、高校の時と同じように、友達に囲まれていた。  ゼミやバイト先でも、バイト仲間や先輩が可愛がってくれる。 「密、お前彼女は?フリーなら、俺の彼女の友達が探してんだけど…」 「あざまっす、今ちょっと気になる子がいるんで、お気持ちだけいただきます!そう言えば、先輩の彼女かわいいですよね、どこで出会ったんですか?」 「ん?あ、合コンだよ、合コン!そうなんだよ、可愛いんだけどさ、最近あんまり構ってくれなくって。そうだ、ちょっと相談に乗ってよ」 「えー、じゃあ飯いきますか?先輩のおごりで」  そんな気軽な付き合いならいくらでも広がってゆく。新しくできた仲間と遊ぶようになっても、密は連絡を待っていた。  バイト先のグループの中で、同じように兄弟の多いのんびりした性格の女の子と仲良くなった。  シフトを合わせて、暇な時間大学の話をしたり、その後遊びに行く事もあった。一緒にいれば楽しいし、話も弾む。そして、成り行きで何度か寝た。  泥酔した彼女が終電を逃して、密の部屋に転がり込んできた時だった。  密から行動を起こせばその関係はもっと続いたのかもしれない。でも、数回二人で会った後、お互いに個人的な連絡を取らなくなった。いつの間にかシフトを合わせることもなくなり、彼女はバイトをやめた。  人伝えに、他に恋人ができたと聞かされた。  そして、秋になり、いくつかのスパムメールに交じってそのメールは届いた。

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