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 俺はうつ伏せにされ、彼のものを後ろから受け入れていた。  長い時間をかけて徐々に拡げられた後孔は、彼のモノをなんとか全て受け入れられるようになっていた。  飛衣が動くたびに、中に出された彼の精液が、隙間から垂れ太ももを伝う。  穴の奥をこじ開けるように腰を回され深く抉られると、今まで感じたことのない快感が背筋を這い上がる。 「朱里、わかる?  俺の、全部入ってる」 「あぅ……あぁ……」  最奥を突かれるたびに視界がぼやける。  俺を包む甘い香りは相変わらず強くて、ずっと発情しているかのような状態に陥っていた。 「そこ……あぅ……」 「奥と前立腺どっちがいい?」  そう問いかけて、彼はギリギリまで引き抜いて、前立腺を執拗に攻め立てる。 「うあぁ! あ、あ、あ……んん……」  俺がひたすら喘ぐと、満足したのか今度は奥へと進んでいく。 「ひ、あぁ!」  甘い匂いがまた強くなる。  理性なんてぐずぐずにとけている俺は、涎を流しながら喘いだ。 「あう……そこ、奥……いい……」 「ここの方がいいの、朱里」  言いながら、飛衣は一旦腰を引き、一気に貫く。  俺は背を反り、一気に高みへと上り詰める。  だいぶ薄くなったであろう精液が、張り詰めたモノから飛び出ていく。  もう、何度、射精しただろうか。  食事や睡眠の時間以外、こうして身体を重ねているように思う。  それを俺は拒絶なんてできなかった。  甘い香りが絡まり、彼の腕に囚われて、俺はただ飛衣に与えられる快楽に溺れていた。    いつもと変わらない、いつもの月曜日。  俺は、普段と変わらない時間に家を出た。  じいちゃんは、日曜日の朝亡くなったらしい。  飛衣の家に一泊して帰った俺は、母親からその事を聞かされた。  土曜日から日曜日の夕方まで、俺は彼と過ごした。  正直そんなに時間が経っていることには驚いたが、親には飛衣がなにか連絡していたようで、不審がられはしなかった。  飛衣と過ごした時間はなんだか現実味がなかったが、奥の奥を抉じ開けられる感覚は、残り続けていた。  俺はその時の感覚を思い出しながら、夜中自慰をしてしまった。  飛衣の名前を呼びながら。  俺はベータだ。オメガじゃない。  飛衣に運命(オメガ)が現れたら……俺はどうなる?  だからこんな関係になったからって、彼を好きになっちゃいけないと思う。  どうせ、俺は捨てられる。  ただ、運命が現れるまでの暇潰しだろう。  事実、彼は今日もオメガの噂があるオミに話しかけている。  適当にあしらわれて、離れていくとふたりの周りには自然と人が集まっていった。 「今日は遅かったなー。つーかいつも通り?」  ライに話しかけられ、俺は、 「まあ」  と返事をする。  人の死に関することは口にしてはいけない。  だから、俺はじいちゃんはの事を言えなかった。だから曖昧に頷くしかない。 「なんか予知でもしたのか?  お前の能力ほんと難儀だよなー」 「眠くなるのだけは何とかなってほしいけどな」  それについては原因不明なので諦めているが。  なにげない会話をライとかわして、時間は過ぎていく。  何も変わらない、いつもと同じ学校の朝。  変わったのは、俺と彼の関係だけか。  飛衣は時々話しかけて来るくらいで、普段と変わった様子はなかった。  ただ俺は話しかけられるたびにどぎまぎした。  毎日彼はオミに話しかけ、フラれるを繰り返していた。  飛衣はよくめげないなと思う。アルファなのに、あんなふうにあしらわれるとか。どうなってるんだろうか。  オミはオメガなのに、アルファに誘惑されて断るとか。どれだけ強いんだろうか、彼は。 「顔紅いけど、大丈夫?」  金曜日の放課後。教室で俺を呼び止めた彼が、他愛もない会話のあと、不意にそう耳元で囁いた。  俺は目を大きく見開いて、彼を見る。  彼は口元に笑みを浮かべて、 「また、うちにおいで」  と言って、頬を撫でた。  びりっと、身体を電気のようなものが走り、甘い匂いが広がる。  ヤバい。  そう思ったとき、視界がぐらりと揺れた。  身体を抱きとめられ、甘い匂いに包み込まれていく。 「あ……」 「飛衣……匂い……」  呻くように言うと、彼は甘く低い声音で、 「どうしたいの、朱里」  と囁いた。  そんな声も、俺を煽るには充分だった。  今日は金曜日。  明日は第2土曜日で、学校は休みだ。  泊まろうと思えば泊まれる。そう思うと心がざわつきだす。 「朱里?」  また名前を呼ばれて、俺の心は揺らいでいく。  あぁ。またこれでは囚われる。   「俺は、身代わりじゃあ……ないのか?」  彼がクラスメイトに声を掛ける様子を思い出しながら、俺は呟く。 「身代わりがなんのことかわからないけど」  本当にわからない、という声音で飛衣は言った。 「俺は。オメガじゃ……」  俺が言うと、彼は、そういうこと、と笑う。 「彼は……オミはオメガじゃないよ」  ……オメガじゃ、ない?  え? 同年代の男にしては小柄で、目が大きくて、髪を長くした女性的な彼が……オメガじゃ、ない?  困惑する俺を置いて、彼は言葉を続ける。 「まあ、あの見た目だししかたないかな。  彼は違うよ。俺にはわかるからね」 「じゃあなんで」  なんで、あんなに構おうとしている? 「もしかして、嫉妬?」  からかうような声音で飛衣が言う。 「んなわけ……」  あるはずがない。なんて言葉は甘い香りに侵されて、理性の底に沈みこむ。  なんで教室で、彼に抱きしめられているのだろう。  理解はできない。 「俺は興味を持った相手に話しかけるだけだよ。  少ないけど、他にいないわけじゃないよ」 「はう……あぁ……」  ブレザーの上から背中を撫でられただけで、俺は快楽を感じていた。  やばい。このままじゃ触ってもいないのにイッてしまう。 「辛そうだね。ごめんね、そんなつもりは余りなかったんだけど。うちに、くる?」  その誘いを、断るはずなどなかった。  飛衣の部屋のベッドの上。  俺は裸にむかれ、同じく裸になった飛衣とキスをしながら身体を撫でられていた。  舌が絡まりあい、ぴちゃりと音がする。  乳首を撫でられ、摘ままれると甘い痺れが広がっていく。  乳首が気持ちいい。  自分で触ってみても全然気持ち良くなかったのに、なんで彼に触られるとこんなに感じてしまうんだろう?  深い深いキスと、胸を撫でまわされただけで俺のモノはすでにがちがちになっていた。  やばい。  胸でイくとかさすがに嫌だ。  唇が離れたとき、俺は飛衣の目を見つめ、訴えた。 「お願い……もっと、触って?」 「朱里は、そうやって俺を煽るんだね」  言いながら、彼は胸から下へと手を下ろした。  乳首を口に含みながら、ぺろぺろと転がされる。  手は太ももを撫で、蜜をあふれさせる俺の中心に触れた。  乳首を刺激されながら、勃起したモノを手で扱かれていく。 「ふあぁ……ふ、あぁ……!」  腰から這い上がる快感に、俺は思い切り背を反らす。 「気持ちよさそうだね、朱里。  ここ、ひくひくしてる」  俺のモノから手を離した彼は、足を抱え上げて尻の窄みへと触れた。  確かにそこは、期待で収縮している。  早く欲しい。  飛衣、太く長いもので中を拡げて、奥を突いてほしい。  俺はここまで淫乱だっただろうか?  男に喘がされて、アルファの匂いでオメガの発情のようにさせられて。  そんな非日常を、俺は受け入れている。  いや、アルファが俺を欲しがっていることに興奮しているのも事実だった。  欲しがれば何でも手に入る魅力と権力を持つ者が多いというアルファなのに。  俺みたいな一般人(ベータ)を欲しがるとか。信じられないような出来事だった。  俺は飛衣に手を伸ばし、早くちょうだいとねだる。 「まだ、入らないよ? ここ」  言いながら、まだ固く閉じている後孔を指先でなぞる。  そして、ゆっくりと指を差し込んでいった。  先週何度もしたとはいえ、この異物感には慣れない。最初はどうして気持ち悪さを感じてしまう。  けれど、内壁を撫でられ中を拡げられていくと、俺は徐々に快楽を拾うようになっていた。  前立腺への刺激のたびに、俺は喘いだ。 「あ……そこ、いい……あぁ!」 「はは……指を食いちぎりそうなくらい締め付けるね、朱里」 「あう……だって、きもち、いい……あぁ!」  2本の指が蠢き、前立腺を攻めたてる。  だらだらと先走りが俺のモノからあふれ出て、腹を濡らしていた。  早く欲しい。  纏わりつく甘い香りに、俺は完全に支配されていた。 「もう、むり……飛衣、ちょうだい?」  俺はもう、彼のモノが欲しくてたまらなかった。  月曜日から今日まで、何度夢に見ただろうか。  この5日の間に2度ほど予知を見て眠ってしまったが、その時も夢に見た。  飛衣に抱かれ、甘い快楽に溺れる夢。  飛衣は指を引き抜くと、すでに固くなっている彼のモノの先端を俺の後孔に押し当てた。  あぁ、いれてもらえる。  そう思うと、嬉しくてたまらない。  ゆっくりと、亀頭が中に入ってくる。  先端が前立腺を掠め、俺は思わず声を上げる。  飛衣は、少しずつ腰をおしすすめ、奥を押しひろげていった。 「あ、あ、あぁ……」  気持ちいい。  奥に、先端があたり、こじ開ける感覚に俺の脳は溶けていく。 「全部入ったよ、朱里」 「う、ん……飛衣、おねがい……動いて?」  俺の言葉とは思えない言葉が、自然とこぼれていく。  飛衣は俺の望み通り、ぎりぎりまで引き抜いて、腰を回しながら中へと押し進んでいった。 「あ……イィ……気持ち、いい……」 「中、熱いね朱里。  俺の形覚えて、俺の物になって」  俺の物になって。  それってどういう意味だろう?  考える間もなく、飛衣は俺を高みへと上らせていく。  時折乳首を抓り、口づけを交わすことも忘れなかった。  唇が離れたとき、淫靡に唾液が糸を引く。  それを見て、俺はもっとほしいとキスをねだる。  再び唇が重なり、唾液が流し込まれる。  俺はそれを喜んで飲み込み、舌を絡ませあった。 「朱里……中に、だすよ?」  唇が離れたとき、欲情した瞳を俺に向けて彼は言った。 「あ……ちょうだい、中……熱いの……」  上ずった声でそう願うと、彼は俺の腰を掴み激しく揺さぶり始めた。 「はぅ……あぁ! だめ、いい! そこ……まっしろ、になる……」 「俺の朱里……俺だけのことを考えて、俺の腕の中で……ずっと……」  余裕のない声で飛衣は言い、動きを止めた。  腹の中が熱い。  あぁ、イッたんだ。飛衣が、俺の中で。  それを嬉しいとか、幸せと思う俺はどうかしているだろうか?  考えてもわからなかった。  あのとき。  腕を伸ばさなければ……俺の腕が届く距離に彼がいなかったらこんなことにはならなかっただろうか?  この腕の届くところに入ったのはどちらだろう?  俺は、飛衣に腕を伸ばし彼の首に絡める。  目の前に飛衣の綺麗に整った顔がある。  その顔は、射精感に浸り、色っぽさを醸し出していた。 「飛衣……もっと……」 「朱里は、すぐ俺をあおるよね」  すぐに肉食獣のようなぎらついた目にかわり、彼は抜くことなくそのまま俺の身体を揺らし始めた。

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