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 そもそも妖狐族の尻尾の多さが持ち得ている妖力と比例している。  九つの尾を持つ狐は立派なあやかしの証なのだ。  ――が、真尋の尻尾は三つ。つまり妖力も狐からほんの少し毛が生えた程度で、おかげで同族からいつも爪弾きにあい、役立たずと(ののし)られていた。  それでもなんとか人間に化け、真尋は今、ここにいる。  人間になった真尋の姿は身長一九〇センチの細身で、一重の目は細く、目じりがつり上がっている。  人間の男としての容姿は、まずまずといったところだろうか。  しかし、である。  どんなに人間に近づこうと化けたとしても、所詮は落ちこぼれ妖狐である。少しでも気を抜けば、頭から耳が飛び出したり尻からは尻尾が出たりと大惨事になる。  ではなぜ、化けることが苦手な彼がそうまでして人間界(ここ)にいるのかというと……。  それは、妖狐族のしきたりというものがあるからだ。  妖狐族はもともと人里離れた山奥で人目に付かないよう、ひっそり暮らしているのではあるが、成人すると運命の花嫁や花婿を探すため、それぞれ下界に降り立つのだ。  妖狐の、『運命の花嫁、花婿』というのはつまり結婚を意味する。しかし、人間とは違い、妖狐族の伴侶はたったひとりきり。  愛を交わし、永遠を誓えばこの世を生きる限りけっして離れることのない魂の片割れ。唯一無二の存在になるのだ。  ではどうやって伴侶を探すのかというと、これはまたとてもシンプルで、妖狐族の伴侶にはそれぞれ個別の独特な魂の匂いがあるのだ。その香りを頼りに嗅ぎ分ければ、なんら問題なく探し当てることが可能らしい。  説明がところどころ曖昧なのは、真尋は今まさに伴侶捜しの真っ最中だからだ。

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