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「な、なななな、なんでっ!! 俺が妖狐だってわかった!?」  まさかとは思うが、変化が解かれたのかもしれない。なにせ自分は妖狐族史上始まって以来の最弱妖狐。しかも変化の術も大がつくほど苦手なのだ。  真尋は慌てて獣独特の耳が頭から出ていないかを確かめた。同時に頬張っていた饅頭がぽろりと落ちる。  けれども真尋が頭上に伸ばした手は空を撫でる。一向に獣の耳に当たらない。 「…………」  よかった。どうやら自分はまだ人型の姿は保てているらしい。  真尋はほっと胸を撫で下ろした。  しかし、である。ならばどうして真尋の正体がこの男にバレたのだろうか。 「…………」  考えるものの、やはり何も思い浮かばない。真尋の腹はまた空腹を訴えた。  腹が減っては戦ができない。真尋は再びしゃがみ込むと膝元に落ちた食べかけの饅頭を拾い、頬張りながら考える。 「なんで、わかった……俺の正体」 「さて、どうしてかな?」  真尋の問いに男は真剣に答える気もないようだ。またもやうっすらと笑みを浮かべ、平然と座敷を出た。

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