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 しかしそれ以上に不思議なのは、この感情が嫌いではないということだ。  居心地が悪いのに嫌いではない。  はじめて味わう不可思議な感情に戸惑ってしまう。  今、真尋はどっくんどっくんと、胸から心臓が飛び出してしまいそうなくらい、大きく鼓動している。  動悸、息切れ。  なぜ自分はこれほどまでに緊張しているのだろうか。 「……っ!」  どうにかして緊張を解そうと口を開けば、  「っき、昨日の礼を言ってなかったからっ!!」  口から出た声は、真尋が思っているよりもずっと大きいものだった。 「へぇ、珍しい。プリムラだね。ありがとう。飾っておくよ」  男は差し出した花束を真尋から受け取ると、昨日と同じくどこからともなく現れた金糸雀(かなりあ)という女に手渡した。その彼女はすでに水が入った花瓶を持っている。  真尋が持ってきたプリムラという花は花瓶に生けられ、縁側に置かれた。

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